週刊あはきワールド 2017年11月1日号 No.544

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.43-1

鍼灸不適応であった頚肩部痛と上肢痛(1)

~私の鍼灸治療法~

明治国際医療大学教授 和辻直 


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はじめに

 鍼灸治療は、ご存じのように2千年以上前から行われてきた治療法です。古い鍼灸治療が、現在でも医療や福祉、健康維持増進に広く用いられているのは、非常に興味深いと思っています。昨今の世界事情では、日本よりも欧米で鍼灸治療が医療に応用されることが多いとも感じています。WHOでは、伝統医学が各国で広く用いられ、疾病の緩和や健康維持に貢献しており、重要とされています。このため中国、韓国、日本、台湾、ベトナムなど中国系伝統医学が医療制度化され、東南アジアだけでなく、欧米だけでなく広く世界各国で普及しています。このことから、国際疾病分類(ICD)に、中医学や漢方医学、韓医学における病証の分類が導入されようとして、ICD—11β版が現在、公開されています1)。2018年5月にWHO総会で採択されば、その導入が決定します2)。このような状況の中、伝統医学的な病態把握の必要性は鍼灸診療でも高まっていると考えています。この国際事情とは裏腹に、国内事情は伝統医学的な病態把握は鍼灸診療において、部分的な活用状況と思われます。

 私の鍼灸診察について概要を紹介すると、現代医学的な病態把握と伝統医学的な病態把握と合わせて診療しています。この診療スタイルになった理由は、私の母校である明治鍼灸大学で教育を受けた際に、東西両医学を有機的に関連づけて活用することからきています。また大学を卒業後に大学附属病院で研修鍼灸師として、2年間ほど研修を受けたことも影響していると思っています。後述する症例でも、現代医学的な病態把握と伝統医学的な病態把握を併記しています。鍼灸診療の中で大事なことは、鍼灸治療の適応か、不適応かを確認することが重要です。これは主に現代医学的な病態把握で判断することも多いですが、伝統医学的な判断でも行える部分もあります。

 私が行っている診察の流れを具体的に紹介します。大学附属鍼灸センターでは学生とともに診療を行うことが多く、患者さんの呼び出しなどは学生が主に行います。ただし夏休みや春休みなど休み期間は、自らが患者の呼び出しを行うことは少なくありません。その際に気をつけることは、待合室で患者さんが待っている状況、患者の呼び出しへの応答など、診察情報になるのは書くに及びません。予診票で頚肩部痛のある程度ことはあらかじめ判りますが、実際の苦痛の程度は患者さんを診ることが一番です。患者さんの呼び出しからベッドまでの様子、手荷物を持っていれば、どのように扱っているのかも、よく見ることが大切です。当然ながら、上着を脱ぐ様子なども、頚肩部痛を知る上で大事となります。
 

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