週刊あはきワールド 2017年11月15日号 No.546

在宅ケア奮闘記 その131

6年ぶりの再会で変貌した患者を見て、認知症と骨折後の介護生活を想う

訪問リハビリ研究センター代表 西村久代 


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6年前の事故

 「先生。お久しぶりです。6年ぶりです。覚えていますか」

 昔の患者の娘さんから電話が入った。電話の声だけでは思い出せない……。患者さんの様子を聞いているうちに少しずつ思い出した。

 G子さん、70歳。6年前、自転車で転倒して左大腿骨を骨折した。手術し入院していたが、歩けないまま退院した。娘さんがインターネットで当院を知り治療の依頼があった。

 G子さんは社交的で町内会の婦人部長を担い、人のために毎日飛び回っていた。その日も配り物を自転車に乗せて、役員さんたちに配り回っていた最中の出来事だった。

 彼女の住む地区は坂が多く、車の通りも多い。そんな街をいつものように自転車で走っていたときだ。向こうから走って来た車にぶつかりそうになった。咄嗟にそれを避けるためにG子さんはハンドルを切った。ところが、切りすぎたためにバランスを崩し、スピードが出ていた状態で転倒、骨折をしてしまったのだ。

わずか4カ月で奇跡的なスピード回復したG子さんだったが…

 娘さんの依頼もあって入院中に初回面談を行った。看護師からも丁寧な状態説明を受けた。入院先の医師が同意書を書いてくれて退院してから週3回施術をすることになった。

 最初はマッサージを痛がっていたが、皮膚の痛みも股関節の痛みも徐々に改善し、体重をかける練習も順調に進み、関節可動域も次第に改善していった。

 室内で手すりを利用しながら移動も安全に行えるようになった。歩くことでリハビリは大きく進展し、痛みも転倒のリスクも減っていった。

 そのころから来客が増え出した。町内会の役員たちがG子さん宅で集まるようになっていった。部屋がにぎやかになり、G子さんが歩くことにとても執着していることが感じられる。負荷をかけた関節可動域訓練を好み、ウエイトトレーニングまがいになった。そしてついに、室内歩行が安全にできるようになってきたので、訪問による施術を終了した。

 気持ちがしっかりしているG子さんは婦人部長として返り咲いた。わずか4カ月でのスピード回復であった。まだ治療は必要だとは思ったが、町内を歩き出すことで十分リハビリになると思った。役員としての使命感が彼女の回復に大きく役立つことになっている。短い間だったが奇跡的回復を目の当たりにして、とても楽しい有意義な時間を共有させてもらった。

 その彼女の娘さんからの電話。6年ぶりの今、どうしているのだろう。状態が気になった。

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