週刊あはきワールド 2017年12月13日号 No.549

新米鍼灸師の研修奮闘物語 File.8

Resident.SeのBSL(Bed Side Learning) Diary(8)

~失敗から学ぼう!高校生の生あしを観察しよう!~

鍼灸レジデント1年目 平岡遼 


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 最近の内科患者さんを振り返ってみると、11月までは上気道症状のみで発熱のない軽いカゼの患者さんがほとんどだったのに、12月に入った途端、38℃を超える発熱、嘔吐、下痢などの症状を訴える患者さんが急増し、季節と人間の体との関係を感じさせられる毎日です。しかし、そう感じているはずなのに、いざ実際の患者さんを目の前にしたときに、寒さの影響を考慮せずに診てしまい先生にどつかれることの多いこと。とほほ・・・。「もっと高校生の生あしを観察せよ!」と石川先生。「え、いいんですか! 先生!」と私。「何を喜んでいるのかね?」えっ、早とちり!ああきょうも失敗!

 さて今回は、そんな失敗談をいくつかご披露していきたいと思います。

【座談会参加者】
木村朗子(ともともクリニック院長)
石川家明(友と共に学ぶ東西両医学研修会主宰)

■天と人は切っても切れない

 まずは冒頭でもお話した天気にまつわる話です。先生の診察のBSLに入っていると天気によって色々な変化が起きていることがわかります。例えば気圧の変化によって頭痛になる人がとても多いことに驚かされます。しかも人によっては台風が沖縄に接近したあたりで感じるようです。多くの天気予報では気温・湿度・風速は書いていますが、気圧は書かれていないものも多いですが、気圧に注目すると、頭痛持ちの人が「痛い」と訴えるときは気圧が低下していることがほとんどです。いまはスマホのアプリでも気圧が見られるものが出ているので、頭痛持ちの患者さんがいる方や自分が頭痛持ちの方はぜひインストールしてみると面白いと思います。他によく見られるのは、風寒湿や風湿熱の外邪と関係の深い痺証、つまり関節痛の方です。寒い日になると増悪する方や、空調機の風で増悪する人がいらっしゃいます。最近では、天気によって症状が出現したり増悪したりするものが「気象病」と呼ばれるようになり、西洋医学の先生方も注目しているようです。

 ここまではなるほどという内容ですが、さてこれを臨床の現場で使えるかどうかというのはまた別の話になってきます。私がよくやってしまう失敗は、舌脈を診るときに起こります。舌脈を診ようとするあまり、これまで話していた天気のことがぽーんと飛んでしまい、まったく考慮に入れず先生に「これは弦脈ですか?」などと言って小突かれてしまいます。カゼっぽいと訴える患者さんがいたら浮脈がないかを探りにいくように、寒い日であれば脈は緊脈になっていないか、舌は色が青くなっていないかという思考が必要です。なっていなければ寒さの影響は少ないかもしれないという情報がとれますが、何も考えていなければ天気に関する反応の情報は取れません。脈状だけでなく六部定位も同様です。カゼっぽいと言われたら浮脈だけでなく右の寸脈も見なければいけません。弱くなっていれば肺気が虚していることがわかりますし、強くなっていれば外邪が肺を犯していることがわかります。

■なぜか先生が相手だと色々話してくれる患者さん

 別の例をもう一つ紹介します。11月に患者さんの一人から、便秘がちになっているという相談を受けました。69歳女性で椎間板ヘルニアと変形性膝関節症で鍼治療をしている方です。まずは西洋医学的に危ない所見がないかと考え、腹部の手術歴、既往歴、血便、服薬などをざっと確認し、便の性状やどれくらい便が出ないのかを聞き、腹部を聴診した結果、危ない疾患を示唆する所見は特にありませんでした。先生に相談すると、「東洋医学的には何が考えられるの?」と言われ、そこで東洋医学的なオンセットを探れていないことに気が付きました。その後、先生が問診を行うと、11月に入り寒くなったこと、寒くなったことで食事から生野菜が減ったこと、また人間関係のストレスもあったことが分かりました。天気のことがまったく考慮に入っていなかったことに気づいた瞬間でした。また、天気によって食事も変化するという当たり前のことが想像できておらず、頭でわかっていることと患者さんを目の前にしてできることは違うことを痛感しました。先生からは「絶対に原因があるんだから医療者は探しにいかないといけない」と教えていただきました。

平岡同じように聞いているつもりなのに、なぜか先生相手だと患者さんは色々話してくださるのです。なんだかずるいような、悔しいような…。

石川ふふふ、それは当たり前といえば当たり前ですが。原因を想像して狙って聞いているからです。何か便秘になった原因が必ずあるはずだと思ってお話をうかがっているからではないでしょうか。

平岡私の聞き方があいまいということなんでしょうか。
 

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