週刊あはきワールド 2018年1月24日号 No.554

臨床に役立つツボの話 第5話

失敗した「天突」と思い出深い「合谷」とよく使う「風池」

いやしの道協会顧問・東洋鍼灸専門学校非常勤講師 大浦慈観 


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 ツボにまつわる体験談として、失敗例および思わぬ成功例をいくつか紹介しよう。

【失敗例:天突】

 誰しも自分がカゼを引いてしまったときに、自分で治そうとして鍼を試みたことはあるだろう。初心者のうちは思うように治らないはずである。カゼの引き始めであれば、風池やノドの周辺に単刺で鍼をして軽快させることはできる。その上で、葛根湯か麻黄附子細辛湯を服用し温かくして寝れば、汗をかいて次の日にはスッキリと治る。しかし、急激にノドが痛くなり一晩寝るうちに気管支にまで炎症が及んで、咳がなかなか治らなくなったときに、自分で何ができるだろうか? 私はもともと気管支が弱かったために、よくカゼを引いてはこじらせてしまった。一刻も早く苦しい咳を治そうと、初心者だった頃に天突に鍼を打ってみた。

 学生だった時代に、天突から寸六の3番鍼を気管支に沿って下へと刺入する練習はしたことがある。ムズムズする気管支の部位に向けて寸六いっぱいまで刺入すると、痒い所に手が届いたようなツーンとする心地よい響きがあり、「これで咳もおさまってくれるかなあ…」と期待した。ところが、その鍼をスーッと抜いてみると、最初は少し良くなったような気がしていたのに、冷たい空気を吸い込んだ瞬間、にわかに咳が連発し始め、さらに胸の奥に疼くような痛みを感じてひどい咳込みが続くようになってしまった。自分の鍼治療の限界を痛感させられた瞬間である。

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