週刊あはきワールド 2018年2月14日号 No.557

新米鍼灸師の研修奮闘物語 File.10

Resident.SeのBSL(Bed Side Learning) Diary(10)

~“カゼっぽい”を鑑別できるようになろう!~

鍼灸レジデント1年目 平岡遼 


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 みなさんインフルエンザかかっていないでしょうか? インフルエンザ患者数が3週連続で過去最多を更新しているそうです。私のいるともともクリニックでも12月から少しずつインフルエンザの患者さんが増え始め、1月に入ってからはインフルエンザ疑いの患者さんが多く来院され、隔離するための部屋が足りなくなってしまうくらいです。一日に10人を超える日もザラです。一週間あたり30件を超えると国立感染症研究所NIIDから流行発生警報が出るそうですから、クリニック周辺でも立派にインフルエンザが流行しているということですね。今回は、カゼ、インフルエンザを中心に感染症の患者さんについてのベッドサイドでの気づきを、お伝えしようと思います。

■カゼ? インフルエンザ? 細菌感染? どうやって見分ける??

 「カゼっぽい」と訴える患者さんは多いと思いますが、果たしてそれはカゼなのでしょうか。医療者として患者さんを診る以上、あとになって実は肺炎でした、などということはできる限りなくさないといけません。肺炎のようにカゼっぽいと訴えられる危ない疾患はたくさんありますが、大事なのはまずそもそもカゼがどんなものかを知っていることです。臨床現場でよく怒られてしまうのですが「まずはコモンなものから考えよ」ということです。咳をしている患者さんのほとんどはカゼです。それなのに咳をしているのを見て、いきなり肺炎や肺結核を考えてはいけません。そのためにはカゼをしっかり知っている必要があるのです。

 カゼの定義を調べてみると参考書やネットなどに色んなことが書かれているので混乱してしまうかもしれませんが、臨床的には次のポイントが大事だと教えていただきました。

・上気道症状が、“同時”に“同程度”存在する。
・7~10日ほどで自然に治る(self-limited)。

 上気道症状とは「せき、のど、はな」の症状のことです。喉は痛みだったり、イガイガすると訴えられたりします。鼻は鼻水や鼻づまりのことです。これらの症状が“同時”に“同程度”起こるところがポイントです。

 まず、“同時”から説明します。カゼはウイルス性です。同じ微生物ですが、細菌とは異なります。「細菌感染は原則として単一の臓器に1種類の菌の感染」という原則がありますが、ウイルス感染では、複数の臓器でウイルスが増殖するので上気道の至るところで症状が出てくるわけです。これは鍼灸学校では教わらず、初めて教えていただいたときにはとても驚きました。
 
 もう一つのポイントは“同程度”である、ということです。ウイルス性では多少の程度の差はあっても、大体同じくらいの辛さを患者さんは訴えます。「咳だけがひどく辛くて夜も寝られない」、「喉がすごく痛くてツバも飲み込めず吐き出してしまう」など一つだけ強い症状がある場合は要注意です。これらは“カゼらしくない”症状ですから、カゼではない鑑別を考えなければなりません。このとき大切なのはどこかに細菌感染が起こっていないか、です。

 さらに大事なのは7~10日ほどで自然に治るということです。これは、症状が10日以上続いていれば「カゼではないのかもしれない」と疑う必要があるということでもあり、薬を飲まなくてもしっかり休んで水分を取っていれば勝手に治るということでもあります。これが、最初に記載したself-limitedということです。

 また、カゼはウイルス性ですから抗菌薬を使っても効果はありません。それどころか、不必要な抗菌薬の投与で副作用が出る可能性や、耐性菌を生み出してしまう可能性もあります。カゼなのか細菌性なのかを見分けることはその意味でもとても重要です。

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