週刊あはきワールド 2018年5月2日号 No.568

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.49-1

メンタルケア対策とその方法(1)

~心構えから四診法まで~

東京医療専門学校学科長・日本伝統鍼灸学会理事 船水隆広 


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はじめに

 現在の日本は15人に一人がうつ病になる確率があります。

 また医療機関に受診をしているうつ病の患者さんは300万人以上とも言われています。ただし、この300万人というのは、実際の数字とは言えません。なぜなら、うつ症状を持っている人の実に4人に3人は医師の受診をしていない。つまり300万人はなんらかの症状を持つ人の4分の1の人数であり、実際にはその数倍、1000万に以上いるのではないかと予想されます。疾患別患者推移も糖尿病を抜き精神疾患はトップになっています。

 こうしたことから厚生労働省はがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に精神疾患を加えて五大疾病としていたのは、記憶に新しいと思います。また自殺による死亡数が交通事故の一〇倍となったり年齢別の死因の1位か2位には必ず自殺が入り、そしてその原因の半数以上が精神的な病となっている日本。周りを見渡せば数名は必ず見つかる統計です。

 さて、たとえばうつ病の主な症状は、知っての通り、抑うつ気分や意欲の減退ですが、実はある興味深いことがあります、精神科に受診をしたうつ病と思われる患者自らの訴えは、疲労感、倦怠感・首肩のこり・頭痛など身体的相談から始まります。その後医師が聞き出すと、意欲の低下・抑うつ気分・不安など精神面の症状が露出してきます。

 つまり、患者は精神的疾患かと自らを疑い精神科に受診をしているのにかかわらず、精神的なものを最初に言わず、身体症状を列挙してくるのです。身体症状だけでも鍼灸師が日常診るポピュラーなものです。このことから、鍼灸院に来ている患者のうち大きな数、根底に精神的な病を抱えていることが考えられるのです。

 肩こりで来院している患者に対し、その根底にある「こころのSOS」に気づけるようになれば、鍼灸院は十分なメンタルケアを行う場所として定着できるはずです。逆に言うと身体的な症状を先に治療することで心身相関が働き、こころの部分にも効果を促すことが十分可能です。いわゆる、身体がすっきりすると心が晴れたり、運動することで発散できるのは心身一如、心身相関が発動しているからなのです。我々の治療は身体の治療からこころの治療につなげることができるのも特徴となります。

 さてここから鍼灸はこのメンタル的な部分にどう対応すべきなのか、どのように治療をしていくべきか、私の治療法を一例としてお役立て願いたいと思います。

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