週刊あはきワールド 2018年5月16日号 No.570

マッスル鍼法実践コラム 第8回

Q&A(1)

浮き管について

あんしん堂鍼灸院院長 宮村健二 


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〔ご案内〕

 奇数月の第3水曜日号で、「マッスル鍼法実践コラム」をお届けしています。1月24日号と3月21日号では、昨年発見した浮き管と呼ぶ技術についてご紹介しました。それを受けて浮き管についての質問が寄せられましたので、今回はQ&Aの形でお届けします。

 なお、マッスル鍼法に関する質問は大歓迎です。分からないこと、確かめてみたいことなどありましたら、ご遠慮なくお寄せください。

〔手の呼び名〕

 このレポートでは、利き手を上刺手、非利き手を下刺手と呼びます。

:浮き管というやり方を発見したそうで、大変興味深く読ませていただきました。これまでは、ルーズスタンスと呼ぶ上刺手のやり方で鍼柄を管理してきましたが、これからは100%ルーズスタンスをやめ、浮き管に切り替えると考えてよいのですか。それとも場合によってはルーズスタンスを用いるケースもあるのでしょうか。また、極端な言い方ですが、浮き管が自然消滅し、全面的にルーズスタンスに戻る可能性もあるのでしょうか。

:質問にお答えする前に、両手刺手管鍼法を特徴づける技術について整理してみます。それは次の三つと考えています。

1)押手をしないこと
 両手刺手管鍼法の最大の特徴です。鍼管が重い金属鍼管から軽くて壁の薄いプラスチック鍼管に変わったこと、鍼が柔らかい銀鍼から堅くて鋭利なステンレス鍼に変わったことを背景に管鍼法の技術が変化しつつあるというのが認識の根本です。押手をやめたことによって、施術部組織はひずみのない自然体となり、これが自然な形で鍼を受け入れる仕組みのベースとなります。

2)田植え圧鍼・T
 押手から解放された非利き手は下刺手として用い、鍼尖のごく近くを持って圧鍼できることとなりました。これが田植え圧鍼・Tです。鍼尖から遠い鍼柄を持って圧鍼する従来の方法に比べ、はるかに合理的といえます。

3)フリー・F
 押手をやめたことで、施術部組織はひずみのない自然体になると書きましたが、田植え圧鍼などの鍼操作で新たなひずみを生じる可能性があります。そこで、田植え圧鍼を施す直前に下刺手の母指と示指を鍼から離し、鍼とそれに繋がる組織を自由にしてやります。これがフリー・Fです。フリーによって、組織はできているかもしれないひずみを自らの弾性によって消し去り、確実にひずみのない状態で田植え圧鍼を迎え入れることとなります。

 押手をしないことを根底に、フリーと田植え圧鍼を交互に繰り返すことで、トラブルの発生しやすい序盤刺入をらくらく乗り切るという目標で進めてきたのですが、次の2点が問題となり、心を悩ませてきました。

A)フリーのとき、鍼が倒れる可能性があること。

B)フリーのときの鍼の浮き上がり、田植え圧鍼のときの鍼の沈み込み。上刺手がこれらの鍼柄の動きを邪魔する可能性があること。

 これら二つの問題点を解決するために考え出したのが上刺手のルーズスタンスです。上刺手の母指と示指を鍼柄に着かず離れずの位置に置いて鍼柄に寄り添い、鍼の転倒防止、鍼の動きの無妨害に努めるというやり方です。このように書くと理想は達成されるように読み取れますが、実際にやってみると、必ずしも上手く行くとは限りません。初心者にとってはこれが乗り越えにくい技術上の障害になると感じられる場面も多く見かけました。なんとか良い解決法はないかと悩んでいたときに遭遇したのが浮き管の発見でした。
 

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