週刊あはきワールド 2018年6月20日号 No.574

【新連載】臨床万事塞翁が馬 その1

恐るべし! 良い姿勢!

大阪漢方鍼医会 森本繁太郎 


1.治療時の姿勢について

 毎日臨床の現場に立っていらっしゃる先生方、治療時のご自分の姿勢について、何か気を付けていらっしゃることはあるでしょうか? もしあるとしたら、どのような点に注意されているでしょうか?

 この質問をぶつけた折り、諸先輩の多くからは「自然体でやりなさい! 力を抜きなさい! それが一番です」というようなアドバイスが返ってくることが、結構あるんじゃないでしょうか。

 特に努力をしなくても、最初から簡単にできた人にはこのようにしか答えられないのも事実だと思います。言ってみれば、天才に努力の経緯を尋ねるようなものですね。「ホームランはどうすれば打てるんですか?」という質問に対して、「そりゃ簡単だよ! 来た球をカアーンと打てばいいだけのことだよ!」みたいな話だと思います。

 実は「自然体」という言葉も、「体の力を抜く」方法も、なかなか理解できるようでできなかったんです。あの頃の私には。ですから、当然会得することのままならない日々を長らく過ごしておりました。

2.願えば適う!

 人間ずうっとそのことを、深く深く思い続けておりますと、なぜか活路が見い出せるものなんです。

 あるとき、合気道の達人が書かれた本や、古武術の達人が書かれた本に出合ったのであります。

 この中に、鍼灸の専門書では全くと言ってよいほど触れられていないのに、臨床家にとってとても大切だと思える内容、つまり良い姿勢の作り方や、気持ちの持っていき方などのコツのようなことが、物の見事に書かれておりました。世の中なんてものは、案外そういうものなんでしょう。

3.支えは筋肉じゃない。骨だ!

 建築物を見ても、ちゃんと柱がそれを支えていますよね。動物を見ても、静止しているときは骨がしっかり体を支えています。

 ところが、静止時の人間には、なぜかこれができていないことが多いんですよね。したがって、筋肉に負担をかけるような姿勢になっています。建築物で言えば柱で支えるよりはロープで引っ張って、それが倒れないようにしているみたいな話だと思います。つまりは、骨に頼らず、筋肉に絶えず負担をかけていますから、そのうち疲労物質が体に一杯溜まってしまって、その結果、臨床家の心身が蝕まれるというパターンに陥ってしまうんでしょうね。

4.重心を体の中心に

 実際にやっているわけではありませんが、合気道に関する本は以前から興味深く読んでおりましたし、呼吸法や気功や瞑想に関する本なども楽しんでおりました。

 そこで得た知識の受け売りですので大変申し訳ないのですが、ポイントだけを書かせていただきますと、要するに臨床家が無駄にエネルギーを使わないでおこうと思えば、「センタリング」なんです。

 えっ、サッカーをするんですかって? じゃなくて「センタリング」。つまり気持ちや力を体の中心に集めてそしてそれを骨の上に乗っけることなんです。

 この技を会得すれば、己の体内から力がガンガン湧いてきますし、自分のエネルギーの無駄遣いも避けることができるんです。

 当然ハンドパワーも増しますから、あなたもいつかはゴッドハンドの持ち主になること、必定です。てな、どこかの誰かが恥ずかしげもなくやっている、稚拙なセミナーのような言い方に聞こえましたかね?

 もしそうだったら、ごめんなさい! でも、一番大切なポイントは、そんなごくごく単純なところにあるみたいですよ。

5.腰は折るもの、曲げるなかれ!

 椅子に腰をかけて臨床をされている方や、往診専門でやっていらっしゃる方は、立位での治療はほとんどされないかと思います。

 そんな場合、腰は絶対曲げてはいけません。折るものなんです。
 

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