週刊あはきワールド 2018年8月8日号 No.581

鍼灸マッサージボランティア報告

岡山県鍼灸師会と全国の仲間が被災地での活動

結鍼灸院院長・関西中医鍼灸研究会世話人・日本中医学会評議員 藤井正道 


◆岡山県鍼灸師会の被災者への鍼灸マッサージ支援

 岡山県倉敷市真備町、総社市で岡山県鍼灸師会のみなさんが被災者への鍼灸マッサージの支援を8月8日まで行いました。全国の鍼灸師、学生たちも支援に入りました。

 真備町の被災者は倉敷市総社市の避難所に避難していて、岡山県鍼灸師会は各避難所に臨時治療所を開設し活動しました。2~3人のチームを複数つくり、1つのチームがA避難所に午前中、臨時治療所を開設し 午後にはB避難所へ行くといった形です。

 避難所の中を直接回るのではなく別のスペースを準備してもらい臨時治療所をつくります。


避難所の一画を使って臨時治療所を設置


















◆岡山県から派遣されている岡山県鍼灸師会の活動

 岡山県鍼灸師会は岡山県と西日本豪雨の直前7月5日に大規模災害に備えた協定を結んでいます。「県と県鍼灸師会など3団体が協定 被災者の健康管理支援で協力」の見出しで協定締結を報じる記事が山陽新聞(7月5日付)に載っています。

◎山陽新聞(7月5日付)のURL↓↓↓
http://www.sanyonews.jp/article/744731/1/

 この協定締結の翌日6日に西日本豪雨が降り、7日に小田川が決壊、真備町が水没します。

 下の写真は倉敷市の備中保健所での災害保健医療活動調整本部の様子。全体ミーティングから1日の活動が始まります。


倉敷市の備中保健所での災害保健医療活動調整本部の様子


















◆岡山方式を全国へ

 県と協定を結び県が派遣する被災地支援チームに加わるというのは、全国でも珍しいのではないでしょうか。ほかにもあるかもしれませんが、私は勝手に岡山方式と呼んでいます。今回の活動を契機に岡山方式が全国に広がることを期待しています。鍼灸師の社会的認知度も高まるでしょう。

 25日にいっしょに活動した岡山鍼灸師会副会長の国安先生は「他県の被災地に派遣されると思っていたが、まさか地元に派遣されることになるとは」と言われていました。鍼灸師が他の医療関係者と同じチームの中で活動する岡山方式は画期的です。

 そうはいっても毎日、複数の避難所を回る活動はなかなか大変、岡山の先生方は避難所を回った後、自分の治療院の患者をみたりしていらっしゃいました。8月1日にいっしょにまわった内田先生(内田輝和岡山鍼灸師会会長の息子さん)は岡山市で床下浸水した自宅を片付けながら、活動されていました。


総社市山手公民館の臨時治療所。写真は内田先生。写真を撮ることを告げると患者さんがピース、つら
れて内田先生もピース




















 岡山鍼灸師会はAMDAにも人員を派遣しています。AMDAの活動は以下から。

◎AMDAのサイト≫≫ http://amda.or.jp/

◆興奮がおさまってくると不眠、不安が

 私は7月25日水曜と8月1日水曜に入りました。

 煙が出る温灸は使えないので、無煙灸を持って行きました。夏は冷飲冷食のため消化器系に負担をかけ中脘(ちゅうかん)付近が冷えている患者さんが多いものです。ましてや避難所の食事は冷めた弁当がほとんど、中脘や神闕を治療中に温めるために使い捨てカイロを使いました。

 1日は午前中、鍼灸師3名で総社市中央公民館へ、午後は2名で総社市山手公民館に行きました。

 最後にみた40代の男性の患者さんが被災者の今を象徴していました。

 男性は自宅解体を中断して治療を受けにいらっしゃいました。

 自宅は2階の手前、数10cmまで泥水につかりました。築10年ほどのまだ新しい家です。1階の内装と床をはがす作業を20日以上ほとんど1人で続けていらっしゃいます。まだ終わりません。なんとか床をはがして床下を乾かしたいのですが、なかなか進まないそうです。職場はお休みされています。

 外壁は健在で2階も大丈夫なため、内装と床をはがし、乾かした後 大工さんに内装工事をお願いする予定です。

 じつは隣接して親の家もあり、蔵もあり、こちらの片付けも高齢の親に代わってやっているので大変です。

 「水を含んだ断熱材は重いのよ」「床板は6cmあって、丈夫に作ったのがここにきてあだになった」「濡れたベニヤも重い」といろいろ話されながら鍼を受けられます。

 少し前までは、避難所でも肉体労働の疲れでぐっすり眠れていたのですが、最近は何回も目が覚めるようになったとか。

 被災当初の興奮が収まってくる中、いろいろ先の不安が出てきたようです。疲労も蓄積されていきます。「ローンが10年延びただけだと自分に言い聞かせているんだけどなあ」ともおっしゃいます。

 私は「大丈夫、今夜は眠れますよ」と言って治療を終わりました。


災害保健医療活動調整本部で岡山鍼灸師会の皆様と。右から2番目が筆者



















 
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