週刊あはきワールド 2018年8月15日号 No.582

鍼灸マッサージボランティア報告

「平成30年7月豪雨」鍼灸マッサージ支援活動報告

~広島県三原市にて~

災害鍼灸マッサージプロジェクト代表 三輪正敬 


 
 ※末尾にボランティアの募集案内がございます。


広島県三原市の被災風景














発災4日後、被災地の小西先生から「一人でも災プロを始めたい」と連絡

 「水が、出ません」

 災害鍼灸マッサージプロジェクト(以下、災プロ)が結成された東日本大震災当時、まだ学生だった頃から情報関連担当のスタッフである小西先生は広島県の尾道市在住。平成30年7月豪雨の被災地に含まれる地域です。

 断水の情報もいち早くキャッチし、事前に自宅の風呂へ水を貯めるなど十分な水を確保。その後は、給水所の場所を地図にプリントするツールを開発したState of the Maps 2018にアクセス。周辺の給水所の地図を近所のコンビニに貼り出すなど、高齢者をはじめとした情報弱者のために直後から迅速に動かれていました。

 そんな小西先生から「地元の災害ですし、一人でも災プロを始めようと思います」と連絡が届いたのが発災から4日後の7月11日。2016年熊本地震以来の災プロ活動がスタートしました。


三原市での事前ミーティング

















小西先生の施術風景
















広島県三原市で支援活動開始

 活動場所はさまざまなご縁から、尾道市の西に隣接する広島県三原市に。7月14日にはご縁をつないでくださった京都の坂部先生と、私と小西先生で三原市長と面会しました。

 災プロがその発足時から、避難所の被災者だけではなく、市役所職員をはじめ自らが被災者でありながら復旧・復興作業に不眠不休となる支援者を治療対象としていることを告げ、亜急性期からこのような支援者支援を行う医療職は鍼灸マッサージ師の他にないことを伝えると、その必要性を即座に理解してくださり、「ぜひお願いします」と、支援の申し出を受諾してくださいました。


三原市長との面会風景













鍼灸マッサージ治療だけでなく、
他の医療職と連携して保健活動を行うのも被災地における私たちの役割

 2011年の東日本大震災、2015年の関東東北豪雨、2016年の熊本地震と活動を続けてきた私たちですが、災害支援に“慣れる”ということはありません。初めて訪れる土地、初めて出会う方々、その時集まった自分たち運営スタッフの人数や状態を見ながら、現地に必要なものを見極め、いつもゼロから作り上げます。

 今回、活動に入ってまず治療したのが、本郷生涯学習センター避難所の避難者と、被災した介護老人保健施設で休みなく働く看護師たち。


介護老人保健施設で看護師の治療をする筆者

















 3日後の17日には、水道の復旧作業に忙殺されている水道部の職員の方々への治療が始まりました。休みが取れず、固形物が喉を通らないという方も。炎天下での工事や市民への休みない給水作業で、血圧を測ると収縮期が200を超えていた方はすぐに保健師へ連絡し、産業医へとつながりました。


三原市水道部で




















 避難所では、水没した自宅の片付けに炎天下での作業から帰ってきた方の初期の熱中症を地元である三原市在住の乙重先生が発見、避難所看護師へ報告、対処されました。


乙重先生の施術風景


















患者を看護師へつなぐ

















 このように、鍼灸マッサージ治療にとどまらず、保健活動を行うことは、被災地における私たちの役割です。

 なお、熱中症の鑑別については災プロHPの「活動ガイドライン」ページの中に資料があります。日常の診療でも有効ですので、参考にされてください。

 ここで他の医療職への報告がなされていますが、支援活動は鍼灸マッサージ師単独で行うことのないよう注意しています。このように他の医療職との連携をとることで、受療者の長期的な健康管理に寄与することができるのです。また、救護所の看護師さんからの紹介で鍼灸マッサージを受診される方がいらっしゃるなど、相互に協力していけます。

 災プロは三原市の医療職を中心とした会議(三原市保健医療災害対策関係者会議)に出席、市内の医療全体の課題や現場の状況を把握しながら活動しています。


三原市保健医療災害対策関係者会議の様子















必要とされるところに適切な支援を届けられるような活動を

 市内の水道復旧のめどがつき、水道部が落ち着いてきた頃に依頼を受けたのが、災害ごみの処理にあたる環境管理課。そして、週末には数百名規模のボランティア対応に追われる、ボランティアセンターを運営する社会福祉協議会職員の治療も始まりました。また、避難所は日中、家の片付けや仕事のために外へ出ている方が多いもの。疲れて帰っていらした被災者の方々をケアするべく、夜活動も始めました。必要とされるところに適切な支援を届けられるよう意識しての活動です。


南方ボランティアセンターで















 このような中、自らが東日本大震災の被災者でもある柔道整復師の阿部先生が、はるばる宮城県南三陸町から参加してくださいました。ご自身が避難所や仮設住宅で暮らした経験をお持ちの方です。これまで災プロのすべての活動に参加してくださっていますが、今回の活動の詳細を、ご自身の整骨院のある「さんさん商店街」のHPの中に手記の形で寄せられています。

 「災害は恐ろしく、あってはならない事ですが、ボランティアに参加する度に、人と人との暖かさ、人の無償の優しさを痛感します」との一文で、私たちの活動の本質を表現してくださいました。


阿部先生の施術風景

















 また、東京都から駆け付けた横山先生は広島出身。今回の災害で、同級生を亡くされたとのこと。この夏に同窓会で再会するはずだったご友人への、鎮魂の祈りを込めた活動となりました。


右から2人目が横山先生(南方ボランティアセンターで)















 参加される方々の「思い」ものせた支援であること、今後も大切にしていきたいと思います。

発災から1カ月以上を過ぎた今の状況

 発災から1カ月以上を過ぎた現在、被災者の方々は、目の前のことに必死だった時期を過ぎて、先を見るからこそつらいという時期に入っています。

 「就寝しても目が覚めてしまう、睡眠時間が短くなった」という方、「目がさめるといろいろ考えてしまいもう眠れない」とお話される方もおり、こうした訴えをきちんと聞ける働きが求められています。

 災害ごみの処理にあたる環境管理課では、「毎日仕事をがんばっているけれど、なかなか進まない」と話す受療者の血圧は依然高く、膨大な量の災害ごみと奮闘されている様子が身体からも伝わってきます。

 活動は評価され、先週末(8月12日)から、新たな避難所や、ボランティアセンターの支部でも活動が始まりました。地元の方々との信頼が積み重ねられています。


沼田西小学校で













 広島県鍼灸師会の先生方も積極的に参加してくださり、私たち外部支援者と、地元の先生方とが協力する良い雰囲気の中で活動が続いています。


岡田会長(広島県鍼灸師会)の施術風景
















災プロでは被災地支援ボランティアを募集中!

 災プロは被災地支援ボランティアの先生を募集しています。災プロHPの「ボランティア申し込み」ページに、募集する期間をはじめとした詳細が載っておりますので、被災地にご自身の手を直接届けられたら、という方はぜひお申し込みください。

 以上、長くなりましたが報告を終わります。

 被災地は広島だけでなく、広範にわたっています。各地で支援に奮闘する方々に心から敬意を示すとともに、一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
 
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