週刊あはきワールド 2018年8月22・29日合併号 No.583

Let’s はりきゅう遊学 第51話

肩のこらない臨床閑話

~えっ?こんなところで・ああ、そこそこ!~

お灸とハリ治療の専門家 福島哲也 


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 先日、某会主催のイベントで「刺さないはり」の可能性について、講義と実演を行いました。演者は、美容鍼灸関係の先生が2名(両名ともに女性)、それ以外からが2名(男性の先生と私)の合計4名でした。参加者は、大多数が女性で、かつ美容鍼灸を実践あるいは興味を持ったり勉強されているかたばかりのようでした。

 アウエーな場での講義だったのですが、あえて「非刺入系の鍼具の使い分けと活用法」という硬めの演題にして、無謀にも眠気を誘うような古典(『霊枢』など)の記載の紹介などもしてみました。予想通り、過半数の参加者の胸には刺さらなかったようで、実演タイムには鍼具の基本的な使い方のほか、講義では一切触れなかった美容関係にも応用できるテクニックもいくつか披露してみたのですが、私のブース(ベッド周り)に集まってくれたのは、1回目が8名(そのうち顔見知りが2名)、2回目は2名でした。

 まあ、あまり御縁がなかったのか惨憺たる結果でしたが、私の実演を他のブースから遠めに覗き込んでいた参加者も片手の指の数ぐらいいたのが幾分の救いです。ちなみに、自分の実演をしながらチラ見をしていた演者の先生もおられたようなので、またの機会があれば次回はかぶりつきでご覧いただければと思います。

えっ?こんなところで

 今回は、まだ臨床経験の少ないかたや学生さん向けに、肩のこらない無駄話をしてみようと思いうので、少しだけお付き合いください。

 特定の専門分野(美容、婦人科、不妊、小児、スポーツ障害、難病など)を掲げているところ以外の一般鍼灸院を訪れる患者さんの訴える自覚症状で、一二(いちに)を争うのが「首肩のこり感」ではないでしょうか? 代表的な訴えとしては、後頚部から肩上部または背部にかけて「張っている」「こっている」「重だるい」「痛い」などの感覚であり、ひどい場合には頭痛や頭重感、吐き気などを伴うことがあります。

 最近は、「肩こり専門」を謳っているところもあるようですが、意外に難しいと思うのが「いわゆる肩こり」に対する施術です。原因もさまざまで、首・肩・背中の筋肉が緊張しやすい同一姿勢での長時間の作業(パソコンなど)、不良姿勢(猫背など)、目の酷使(眼精疲労)などから、運動不足や精神的ストレス、冷房(冷え)などによる血行障害、さらには飲食の不摂生、これ以外にも「各種疾患の随伴症状の一つとしての肩こり」もあり、レッドフラッグの鑑別と原疾患のへのアプローチが必要な場合もあります。

 皆さんも「肩こりを治せれば一人前」という文言を、一度くらいはどこかで見聞きしたことがあるかと思います。私は未だに半人前以上一人前未満ですが、その手の内をいくつか紹介してみましょう。

 まず、患者さんの訴えを懇切丁寧に聞いて、可能であれば指で触れてもらいながら患者さん本人が気になっているエリアを炙り出し、灸点ペンなどで印をつけておきます。つぎに、筋緊張の具合と圧痛の質と程度を確認しておきます。なお、ときには訴えのある局所の当該筋肉には顕著な緊張や圧痛が全くみられない場合もあります。
 

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