週刊あはきワールド 2018年10月10日号 No.589

鍼灸マッサージボランティア報告

「平成30年7月豪雨」から「北海道東部胆振地震」へ

災害鍼灸マッサージプロジェクト代表 三輪正敬 


 

三原市での支援活動に35名が参加、約500名へ施術を提供

 今年の8月15日に“「平成30年7月豪雨」鍼灸マッサージ支援活動報告~広島県三原市にて~”と題した報告をこちらで行いました。


最終ミーティングを終え、出発時に

















 この支援活動は9月3日に終了し、災害鍼灸マッサージプロジェクト(以下災プロ)は広島県三原市から撤収しました。ちょうど災害対策本部が終了するタイミングであり、市の災害医療体制に最後までお付き合いできた形となります。

 7月14日から撤収までの52日間のうち、実質的な施術活動は37日。のべ約500名の方へ施術を提供しました。このうち半数は避難所避難者であり、もう半数はライフラインの復旧などに追われる市職員をはじめとした支援者が対象でした。地元で支える人を支えるのも、災害時の鍼灸マッサージにできる大切な役割です。


正座ができる、と喜ぶ


















 参加者は実数で35名。地元である広島県の先生方をはじめ、宮城、茨城、神奈川、東京、埼玉、千葉、大阪、京都、滋賀、熊本、沖縄と、1都2府9県から有志の方々が参加してくださいました。

撤収日に三原市長からはありがたい言葉を頂く

 撤収日に面会した三原市長からは以下の言葉を頂きました。

 「鍼灸マッサージのような災害支援のあることを知らなかった。被災した市民への支援はもちろんのこと、寝ずに働く市職員への支援は(その健康管理に携わる外部支援の医療職はいなかったので)本当にありがたかった。」

 これまでの活動と同じく、撤収する際は各活動場所に地元の治療院リストを配布、継続して広島県内の治療院を利用してもらうよう促しました。

災プロの支援活動はありがたい縁に恵まれている

 活動終盤の、災プロらしいエピソードを一つ。支援してきた避難所の閉鎖に伴い、スタッフが最後の掃除を手伝いに行ったところ治療活動となり、そのまま、避難所を運営してきた地元の方々と夕食を囲むことに。「ただ被災地のために」を掲げ、治療活動にこだわらず継続的に信頼関係を築いてきたスタッフならではの展開。私たちの活動はいつも各地で、このような有難いご縁に恵まれます。


掃除もしっかり

















避難所からもとの体育館へ

















 撤収の数日前に市役所より、活動継続の要望が寄せられました。これに対しては、災プロ活動へ熱心に協力してくださっていた福山地区鍼灸師会が引き継いでくださいました。この原稿を書いている10月にはその活動も終えられましたが、地元の先生が定期的な活動を行うのは大変なもの。福山地区鍼灸師会の杉原朝香先生、山下桂史先生、七森智史先生へ、心から敬意を表します。


福山地区鍼灸師会による三原市役所での施術活動
















 災プロの支援活動が終わっても、復興住宅が整備され、観光客が戻っても、住み慣れた家や親しい人を失った方々にとっての本当の「復興」はまだまだこれから。広島に限らず、岡山や愛媛をはじめ、同災害で被災された方々に早く日常が戻ることを心からお祈りしています。

 そうして広島を後にした3日後の9月6日、北海道東部胆振地震が発災しました。

北海道庁より「鍼灸マッサージ師の活動禁止」の通達

 災プロからは釧路在住スタッフの畠中美希先生、三原市活動の疲れを癒そうと北海道旅行を計画していた広島の小西直之先生の2名が、9月17日(月)に先遣隊として厚真町と鵡川町を訪れました。


厚真町ボランティアセンターにて


















鵡川町の避難所



















厚真町の社会福祉協議会関連の建物






















 ところが同日、北海道庁より「鍼灸マッサージ師の活動禁止」の通達が。連絡をくださった国立病院機構災害医療センターの職員の方へ理由の詳細を尋ねたところ、少し前に避難所に支援に入った整体師(無資格者)による、お金に関するトラブルがあったそうです。 「御礼として差し出されたお金を受け取ってしまったのか、支払いを要求したのかは不明」とのことですが、このような場合に無資格者へストップをかける法律はないため、国家資格保持者に対しての通達となったそうです。

 結果的に、国家資格を持ち医療として活動する私たちは動けなくなり、無資格者はそのまま避難所に入り続けるという矛盾した事態が生じました。ニーズの把握もできていただけに、私たちが他の医療職と連携しながら継続的に支援することでフォローできた避難者や地元支援者の方々も多かっただろうことを思うと、非常に残念でした。 

「ただ被災地のために」をあらためて思う

 被災された方々のことを思う心に、有資格者も無資格者も、団体も個人もありません。ただ、その思いを行動に移すとき、そこには相手があること、責任が伴うことを、私たちはこれまでの活動の中で常に意識してきました。迷惑をかけないこと、自分のしたいことをしに行くわけではないこと、周囲と和することといった災プロの活動方針、そして活動原則である「ただ被災地のために」をあらためて思いました。

 各地の災害で被災された方々にどうか、平穏な日々が訪れますように。
 
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