週刊あはきワールド 2018年10月10日号 No.589

生命に学ぶ鍼灸医学 第5話

学ぶ姿勢

~生命の揺らぎ:総論~

一元流鍼灸術代表 伴尚志 


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■この連載について

 この文章の目的は、鍼灸医学の基礎の解説をすることにあります。東洋医学的な鍼灸を、原理的に煮つめて以下の条項にまとめました。2018年6月から一年間をめどに毎月配信しています。よろしくお願いします。
  1. 東洋医学的な鍼灸を探求した人々は、聖人を目指していました。その聖人とは超能力者ではなく、求道者のことです。
  2. 鍼灸治療の目標とは何でしょうか。その基本は、生命を調えることにあります。そこを見ることができるから、今を磨く養生を提言することができるわけです。
  3. 鍼灸医学は単なる症状とりのための技術ではありません。生を応援するための技術です。深い治病はその後についてくるものです。
  4. 診ることを磨くために弁証論治があります。時系列の問診をして生命の流れを診、四診をして今の状況を診、構造的に考えていくことによってその生命状況を見極めます。
 さて、東洋医学的鍼灸は求道者によって創始され、江戸時代の求道的な精神を背景にして、気一元の身体観とともに花が咲きました。

 探究の焦点となる、自分自身を見つめる心の位置と、四診をする心の位置はおなじです。これは、神道―仏教(禅)―儒学(古義学)を貫く一点となります。「自己の内面を祓い浄め、磨き出された自己の中心をもって、他者を診」ます。この心の位置を定めてみると、「いのち」に触れ、それを表現したものに、リアリティーにおいて軽重があることが理解できます。リアリティーに近いものほど言葉は少なく、遠いものほど言葉は多くなります。このことを「知の構造」と題して前回、図にし解説しました。

 ありのままに見、あるがままに表現するという行為は鍼灸師にとって、四診と治療としてそのまま日々の臨床に繋がります。そのため、見るとはどういうことなのか、どのような心の位置でみるのかということについてこれまで、ていねいに述べてきました。

 今回は見ている対象である「生命」について述べていきます。個人個人の輪郭をもった生命を「生命」と、それらすべてを支えている根源的な生命を「いのち」という文字を使い、分けて述べています。

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