週刊あはきワールド 2019年2月13日号 No.605

生命に学ぶ鍼灸医学 第9話

学ぶ

~まとめる:弁証論治の土台~

一元流鍼灸術代表 伴尚志 


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■この連載について

 この文章の目的は、鍼灸医学の基礎の解説をすることにあります。東洋医学的な鍼灸を、原理的に煮つめて以下の条項にまとめました。2018年6月から1年間をめどに毎月配信しています。よろしくお願いします。
  1. 東洋医学的な鍼灸を探求した人々は、聖人を目指していました。その聖人とは超能力者ではなく、求道者のことです。
  2. 鍼灸治療の目標とは何でしょうか。その基本は、生命を調えることにあります。そこを見ることができるから、今を磨く養生を提言することができるわけです。
  3. 鍼灸医学は単なる症状とりのための技術ではありません。生を応援するための技術です。深い治病はその後についてくるものです。
  4. 見ることを磨くために弁証論治があります。時系列の問診をして生命の流れを診、四診をして今の状況を診、構造的に考えていくことによってその生命状況を見極めます。
 さて、東洋医学的鍼灸は求道者によって創始され、江戸時代の求道的な精神を背景にして、気一元の身体観とともに花が咲きました。

 探究の焦点となる、自分自身を見つめる心の位置と、四診をする心の位置はおなじです。これは、神道―仏教(禅)―儒学(古義学)を貫く一点となります。「自己の内面を祓い浄め、磨き出された自己の中心をもって、他者を診」ます。

 病を含めてすべては「生命」の揺らぎの内にあります。その揺らぐ生命の型である、「臍下丹田を中心とする気一元の生命観」と「肝木の身体観」についてはすでに解説してあります。

 8回目である前回は、脉診を通じて、この身体観の実際の使用法について述べています。陰陽五行で見る分析的な見方よりも、胃の気―生命力全体を見ることの方が大切であると強調しています。

 今回は、人を構造的に見る方法である弁証論治を、支える基盤について述べています。四診をするということがいかに繊細な行為であるかということ。その繊細さを基礎として東洋医学は成り立っているということ。言葉にし得ないものをあえて言葉にして表現したため後代、それを積み重ね誤解が誤解を生むような状況を生み出してしまっているということ。これらをすべて包含して東洋医学が成立しているということをよく考えていただきたいと思います。

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