週刊あはきワールド 2019年2月20日号 No.606

在宅ケア奮闘記 その146

救急車は呼びません

~正常圧水頭症の夫を「最期は自宅で看取ります」と決めた妻の重い決断~

訪問リハビリ研究センター代表 西村久代 


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認知症と思われていたHさんは正常圧水頭症だった

 10年ほど前の話だが……。1932(昭和7年)生まれのHさんは正常圧水頭症だった。正常圧水頭症とは、脳圧は上がりにくいが脳脊髄液が溜まることにより症状を引き起こす病気。認知症と似ている症状が出るが治療により改善できるようである。しかし、Hさんは長い間にわたり単なる認知症ということで、水頭症の治療はされてこなかった。

 Hさんは家の近くを歩いて散歩するのを好んでいた。そのうち、足が弱くなり、転倒したり、何かにぶつかって擦り傷ができるようになった。木にぶつかり、おでこや顔に傷ができていたこともあった。

 近所の人とよく話をしていたが、ベンチに1人で座っている方が多くなった。 私の患者さんがHさんの知り合いだったことでときどき私にも声をかけてきて、季節のあいさつなどを交わすこともあった。明るくて親切な老人だった。

 ある日、散歩に出て帰ってこないことがあって、警察に捜索願が出された。捜索の結果、帰りがわからなくなり隣の区をウロウロしているところを発見され、家に連れて帰ってもらった。

 そのことがあってからは、家の中だけで暮らすようになり、筋力低下が著しくなった。認知症もあるので、要介護認定を受けたら要介護2が出たため、デイサービスに週3回行くことになった。

 高熱が出て肺炎と診断され入院が2週間続いた。もう全く歩くことができず、手足のツッパリや不随運動が出てきた。詳しく調べたら「正常圧水頭症」と判断された。治療が進んで手足の動きがややマシになったものの、暴言を吐くようになった。

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