週刊あはきワールド 2019年3月6日号 No.608

レポート

鍼灸医療制度とプロフェッショナル・オートノミー

- 日米英医療制度と比較した日本鍼灸医療制度と鍼灸診療ガイドラインの考察

一般社団法人福島県鍼灸師会監事 中沢良平 


 
「広報ふくしんかい」第91号(一般社団法人福島県鍼灸師会)より転載

【要約】
 かつて昭和の時代、武見太郎氏が率いる日本医師会はプロフェッショナル・フリーダムを目指していた。時は平成となり、専門医制度の始まりとともに医療界はプロフェッショナル・オートノミーへと舵を切った。専門医制度は切迫する社会保障費の対応としてEBMを駆使した費用対効果の優れたものをガイドラインとする背景で進んだが、ガイドラインの活用について外国と比較すると、英国では成果を上げ、米国と日本では成果を上げられなかった。日本の鍼灸医療制度は業団への任意加入を除けば英国の医療制度に近く診療ガイドラインを活用できる下地があるが、保険制度には関われないのでプロフェッショナル・オートノミーの考えを発揮できない。米国ではサブスペシャリティー学会がガイドライン作成に反対の意を示し、結果として先進国の中でも医療費が高い国となった。日本の鍼灸師は東洋療法研修試験財団や全日本鍼灸学会の認定をサブスペシャリティー研修として位置づけ実施し、さらに日本鍼灸師会等の業団会員限定による鍼灸診療ガイドラインに基づいた施術を提供する受領委任払い制度を実現させれば、日本鍼灸医療制度でも英国医療制度に近づけた体制を築くことができると考える。
キーワード:鍼灸診療ガイドライン、サブスペシャリティー、受領委任払い制度

【はじめに】

 最近、医師の話しの中で専門医制度に話しが及ぶと「プロフェッショナル・オートノミー」という言葉が聞かれる。

 医師という職業は専門職で、他の職種と分化してきた職業の一つであると考えられ、法律家や宗教家、教師という職業に共通する。「プロフェッショナル・オートノミー professional autonomy」は、国家による規制を受けず、専門職内部を専門職団体自身が自己規制するという、他職種とは異なる規制形態で「専門職種自身の自律性」である。

 この中には「診療ガイドライン政策」がかかわってくるが、国によりガイドラインについての環境が違う。ここでは、日本、米国、英国のガイドライン策定環境を比べる。

 さらに、英国の医療制度に近い環境を持つ日本の鍼灸界の今後について、どのように医療制度とガイドライン策定にかかわるのか、プロフェッショナル・オートノミーの視点で考察したい。

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