週刊あはきワールド 2019年3月20日号 No.610

全力で治す東西両医療 第35回

ともともクリニック全力カンファレンス中継(24)

~症状から、証の鑑別、経穴の選び方を症例でたどると~

 (1)荒川和子(2)平岡遼(3)木村朗子(4)石川家明 


◎第34回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(23)
      ~すでにお前はベッカムである、でもニセモノになるな~
      (荒川和子・木村朗子・石川家明)
◎第33回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(22)
      ~ツボは外れない、すでにお前はツボである~
      (荒川和子・平岡遼・木村朗子・石川家明)
◎第32回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(21)
      ~『素問』、『霊枢』ではどのように病証を捉えているか~
      (荒川和子・木村朗子・石川家明)
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(1)荒川和子:清友会 山田整形外科胃腸科肛門科
(2)平岡遼:ともともクリニック 
(3)木村朗子:ともともクリニック院長
(4)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表

 圧痛をはじめ経穴の反応とその組み合わせは、その患者特有の個人情報であるから、「個人的経穴」と名づけておきました。東洋医学は「私はここが痛い」ということを大切にする医学です。そして、往々にしてその経穴が奏効して、患者の愁訴に効いてくれます。

 一方で、圧痛などの経穴の反応がなくとも、ある経穴や経穴の組み合わせ(配穴、もしくは経穴処方)は、それぞれ固有の効能を持っていそうです。それを確信できたのは鍼麻酔の当時のビックデータからでした。手術予定の部位の疼痛閾値が下がるのは、手術部位に病がある者も、そうでない健康者も同じであったからです。例えば、齲歯がある1本の小臼歯に鍼麻酔が効く経穴配穴は、齲歯のない健康人にでも同じようにピンポイントに効いています。効果判定には、歯髄に電流を流して痛みを測定します。麻酔薬と同等の完全無痛は20~25%ぐらいですが、和痛効果としては90%前後にも上ります。これらの経穴配穴の効果は誰にでも再現できるので「普遍的経穴」と名づけておきます。

 さて、前回から、実際の臨床でどのように経穴を選択するかを皆さんと話し合っています。日々の臨床ではどのように診断思考が進んでいき、経穴を選んでいくのかを、実際の今日のカンファレンスを通して考えていきましょう。

■教科書に載っているのは普遍的経穴

木村そうすると教科書には「普遍的経穴」が掲載されているということですか?

石川基本的にはそうです。良い教科書的な本には「普遍的経穴」が載っているはずです。小難しい話を抜きにすればですが。

荒川どういう意味でしょうか?

石川「普遍的経穴」は存在しているのですが、ある具体的な経穴や組み合わせの経穴に期待される効用が本当にあるかどうかの問題が残るからです。そこで、ここでは話を複雑にしないために詮議しないことにします。

木村効果があると思い込んでいるかも知れないからですね。

石川ええ、そのとおりです。集団的にも、鍼灸師が全体的に思い込んでいる場合もあるかもしれません。(笑)さらに加えれば、ここでは「非特異的に効く」場合は除いてもらいます。

木村そうですね。もっと話は複雑化します。

石川「特異的効果」だけに着目しています。たとえば、至陰穴は逆子に効いてくれるとか、二間穴は麦粒腫に効くとか、また顔の痛みには合谷、腹部の病症には足三里だとかの論議に絞ります。一方、体全体を良くするとか、風邪を引きにくくするとかも、これらはある一面、東洋医学的な特徴なのですが、これらも大いに議論の対象なのですが、今回はこれを除いて論議しましょう。

■血尿の患者さんにどのツボを使う? を考える

石川それでは、平岡さん、先ほどのカンファレンスでどの経穴を使うのかの話になりました。あらましを読者の皆様にも提示して討議しましょう。

平岡71歳男性の鍼灸患者Hさんです。昨年春に胃がんと診断され現在抗がん剤治療を行っている方です。抗がん剤の副作用である下肢全体や上肢の指尖に強いしびれがあります。先日の治療中に「抗がん剤を打つとしばらく血尿が続く」という訴えがありました。血尿と聞いたらどんなツボを考えられるのでしょうか? 

石川経穴選びをどうやって考えていくのかを示すために、いきなり血尿から入るのではなく出血から考えましょう。東洋医学では出血は何によって起こるのでしょう?

平岡血熱があると溢れて出血します。

石川あとは?

平岡えーと…、気虚があると固摂機能が低下するので血管から血が漏れ出て出血します。特に脾気虚では脾不統血となり出血の原因になります。

石川そうですね。火熱と気虚が主要な病機です。急性期はほとんど火熱によるものです。これらは病の成り立ちである病機です。病因にはどういうものが考えられますか?

平岡う~ん・・・、なかなか出て来ません。

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