週刊あはきワールド 2019年5月8日号 No.617

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.61-2

慢性的な痛みに伴う患部及びその周辺の陥下に対する局所治療(2)

~その症例~

玉村鍼灸治療院 玉村彰一朗 


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 前回、陥下に対する局所治療の方法と補助的に使用する原穴環へのアプローチについて説明しました。今回は主訴の違う、それぞれ陥下のある慢性的な痛みの症例を2つご紹介いたします。

症例1…腰部および両殿部の痛みとだるさ

患者:男性、72歳、身長173cm、体重53kg、血圧124/72mmHg(薬なし)。

主訴:腰部および両殿部の痛みとだるさ。

現病歴
 過去に何度もぎっくり腰を起こしたことがあり、腰痛は常に感じている。1年ほど前から腰部および殿部に鈍痛とだるさが出現した。特に何も処置をせず過ごしていたが、3カ月ほど前からその痛みとだるさが大腿後面、膝裏まで広がるようになった。しびれはない。2カ月前に整形外科を受診すると、坐骨神経痛と言われた。レントゲンは撮っていない。湿布、痛み止めを処方されが、だんだんと悪化しているように感じる。今はまだ我慢ができないほどではないが、これからのことが心配になり知人の紹介で来院した。

既往歴
ぎっくり腰:回数および起こった日付は「20代の頃から何度も」との回答のみ。

突発性難聴左耳:67歳の時、ステロイド治療を行った。現在も若干聞こえにくく、セミが鳴くような耳鳴りがする。

肺炎:70歳の時、8日間入院、予後良好。

望診
 やせ型だが弱々しくはない。

舌診:胖大舌、淡白舌、薄白苔。

聞診
 特記事項なし。

問診
食事:食欲、食べる量は自己申告で問題なし。刺身、乳製品、卵をよく摂取する。水分摂取量は水、緑茶を1日1リットル以上。

嗜好品:酒はビール350ml缶1本か日本酒(冷酒)2合をほぼ毎日飲む。

大便:1日1回 形状問題なし。

小便:1日5回 夜間1回。

睡眠:就寝時間22時頃、起床時間5時頃。寝返りが多い。

切診
腹診:大腹、小腹の皮膚がたるんでおり、腹直筋が浮き出ている。上腹部は上脘、中脘あたりに長い横皺がある。下腹部は全体に虚だが、特に鼡径部の上あたりが虚で陥下している。L > R。

背診:背中の肌肉が薄い。腰部の色つやが悪く、黒ずんでいる。腰椎が飛び出ている。腰椎挟脊が非常に硬い。殿部は左右ともに大きくえぐれている(お尻の力を入れるとへっこむような状態が、力を入れていなくても起こっている)。

切経:要穴は、太渓が左右ともやや陥下、そのほか特に大きな虚実、左右差はない。腎経の築賓から陰谷下あたりに筋張り、細絡がある。下腿胃経に張りがあり押さえると硬い。足の示指、中指、薬指がやや曲がり背屈している。

脈診:滑弦、やや実。
 

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