週刊あはきワールド 2019年7月10日号 No.625

『指圧養生訓 令和版』へのいざない

セルフ指圧の本を日本の指圧ファンの皆様へ

~『指圧養生訓 令和版』の「まえがき」より~

 小野田茂 


 このほど、『指圧養生訓 令和版 セルフ指圧のすすめ』を上梓いたしました。ここでは、本の紹介を兼ねて、本書から「まえがき」を転載させていただきます。(編集部)

まえがき

この本を日本の指圧ファンの皆様にご紹介するに当たって
指圧養生訓 令和版 セルフ指圧のすすめ(監修: 石塚寛、編著:小野田茂)  この本のスペイン語版は『Auto SHIATSU』(セルフ指圧)として15年前からスペインの本屋さんに並べられています。今まで私は、指圧師や指圧を学ぶ学生さんを対象に指圧の専門書を執筆してきました。これからもこの気持ちは変わりません。プロが治療を目的に指圧のテクニックを自由自在に使うことはもちろんのことですが、患者さんが健康目的、疾病予防目的で指圧のテクニックを習い、そのテクニックを駆使するということは大変すばらしいことです。

 指圧の治療を定期的に受けることにより自分の体をいつも敏感にしておき、いつでも痛みや不快感という体からの警告を感知するということが長生き(長息)に通じます。そういった観点からこのセルフ指圧の本を、日本の指圧のファンの方々にもぜひ理解してもらいたいとの希望を持って日本語版を出版することにした次第です。

 今日のヨーロッパでは「指圧」という言葉は、背骨や骨盤の歪みを矯正する手技療法の1つとして認識されています。親指の指腹を患者さんの皮膚に接触させ、体の体重の移動を利用してその部位を圧することで、血液循環を良好にさせ、関節の歪みから来る痛みや不快感を消し去り、自然治癒力を高める療法として一般に知れ渡りつつあります。これはヨーロッパの指圧50年の歴史が、積み重ねた結果とも言えます。

 こういった普及の初段階においては、良し悪しは別として、ヨーロッパにおける日本文化の「ブーム」が、拍車をかけて急速な指圧普及につながったことは言うまでもありません。

 例えば、スペインにはパエリアという炊き込みご飯があります。スペインの有名な料理の1つです。本物のパエリアとの比較をイメージしてみるのが簡単かもしれません。

 本物のパエリアの材料は米や魚貝を含めて常に同じものです。これらの材料のうち1つでも別のものに変えると、それはパエリアという料理ではなくなります。「本物の日本で生まれた指圧」に何か違うバリエーション(他の手技療法)を混ぜ合わせれば、「指圧療法」と呼ぶことができなくなるのと同じです。

 これは「日本料理」が今外国で経験している現象と同じかもしれません。本物の寿司の伝統と調理法、その本物が持つ風格とそれに伴う歴史を知らない者たちにとっては、単にご飯を握ってその上に切り身の生魚を乗せれば、それが寿司。それを満足した顔をして食べているのと同じかもしれません。

 「そういった愚行に抵抗することは必要ないし、また心配することもありません。本当に指圧治療を必要とする患者さんは、本物と偽物との違いにいつかは気づきます。そのときが来るまで、私たちは本当のプロの指圧師を育成しましょう。そして正しい治療方法を教えるのです。言葉は要りません。継続と実行です」といった叱咤激励を、私の気が萎えたときに必ず、私の先生達、つまり長年の治療経験を持ったベテランの師匠達から頂戴し、ここまでどうにか踏みとどまってきました。私は、異国の地スペインで35年間この言葉を念じて職務を継続してきました。

 これまでに私は、日本およびスペインで何冊かの本を執筆しました。指圧治療のプロおよび指圧のプロになることを目的に勉強をしておられる学生さんを対象として執筆したものです。学校で教えてはいますが、メインは相変わらず治療です。相当量の患者さんを毎日治療しています。患者さんとの接触が、教えることの基礎なので、メインはやはり治療になります。

 患者さんから一番よく受ける質問は、「家でテレビを見ながら,この肩の痛みを取る方法ってないの?」とか、「腰を昨日ギクッとさせて歩けないんだけど、腰痛の撃退ツボはどこ?」といった日常生活で直面する切実な質問やその他たくさんの、何気ない疑問です。

 ハテハテ、それなら皆様の疑問に答えるために、専門家のための指圧の本ではなく、ごくごく日常における患者さんのいざというときの予防処置や簡単な痛みを撃退するためのセルフ指圧をベースにした、誰にでもできる簡単なテクニックおよび、とっておきの有効なツボをどのように使用するかといったハウツウ書を皆様の養生訓として提供すれば指圧も広がるのかなーと考えた次第です。

 人間の体は、状況に応じて無意識に動作します。例えばある人が痛みなどの不調を感じれば、その人は痛いところを探して手掌をその部分に置きます。これが俗に言われる手当ての語源です。

 そしてずばり、このときに手掌を接触させている部位「キーポイント」は、まさしく「重要な役割を持つ経絡上のツボ」に一致します。このポイントは、我々プロの治療師が重要穴として使用するポイントに相当します。こういったことを指圧の治療法の知識を全く持たない人が、人間の体に誰もが所持している原始感覚をフルに活用して知らず知らずに行っているのです。

 こういった本能的行為は、本来であれば人間は知っておくべきもので実際使用しないでいると、その感覚はまさに冬眠状態で錆びついた状態を維持することになります。ほとんどの人は一生こんな状態で人生を終了させます。

 この本は、人間の体が本来所持している自然治癒力の機能を目覚めさせ、効力のあるツボが本来の機能を100パーセント発揮させるにはどのような手順と知識が必要かを知るために必要な基本的な実践エクササイズをたくさん盛り込んで一冊の予防医学書にしてみました。そして「心身に良い状態とはどんなものか」ということを自分の身体への労り(自己指圧)を通して身体の奥から理解しうる養生法をマスターしようというのが、本書の主な目的です。

 本書はあらゆる人に読んでもらいたいと思い執筆しました。楽しく読めて、しかも毎日の生活において役に立つ健康手引書がこの『指圧養生訓』です。

 そんなわけで、理解しやすいようにたくさんの写真とイラストを挿入しました。この健康実践手引書が、簡単なエクササイズや指圧の手法、そして重要なツボを圧することにより人間の一番の願いである健康を維持して寿命を全うするための良き友となることを心から願ってやみません。

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