週刊あはきワールド 2019年7月24・31日合併号 No.627

あはきメンタル~《からだ》と《こころ》の寄り添い編 第8回

からだの病気か? こころの病気か?

~あはき師の役割~

あはき師・臨床心理士・公認心理師・あはき心理学研究会 藤田晶子 


◎第7回 出来事を聴くこと、疾病を診ること、2つの視点(藤田洋輔)
◎第6回 《共有する事》、《体験する事》の大切さ
      ~平成30年度の活動を通じて~(中村慶・藤田洋輔)
◎第5回 アサーションのススメ(岡田紘未・藤田洋輔)
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<あはき師で学んだ医療面接の大切さ>

1.医療機関で面接をするということ
 前回(第7回)の「出来事を聴くこと、疾病をみること、2つの視点」では、医療面接における《事例性》と《疾病性》という2つの視点が挙げられていました。現在、私は精神科・心療内科のクリニックや病院で心理士として働いていますが、そこで、それらの視点が非常に役立っていると思います。

 医師の診察の前には、心理士が、インテークといっていわゆる“予診”を取る機会があります。クリニックや病院によって、予診票を準備しているところもあれば、受診予約の際に、ざっくりとした症状だけが聴取されていて、それを元に予診を取ることがあります。また、診察時間が、その“医師のカラー”によっても異なり、それにより、心理士が予診で聴取する“幅”が違ってきます。ここで“幅”というのは、“医師のカラー”につながるのですが、まずはこの“カラー”について説明をしないといけないことに気づきました。“カラー”が異なるというと、医師によって診断に違いがあるのではないかという誤解をされる方がいるかもしれないからです。

 例えば、企業に勤めている社員に(メンタル)不調があった場合、その社員は、個人として受診をしてもらうのはもちろんですが、企業側は契約をしている産業医にも意見を聴き、総合的に休職や復職の判断をします。その産業医の役割をしている医師の場合、“診断”は行いません。その理由はここでは省きますが、産業医の役目は、企業側が病気を理由に、その社員を不当に扱わないよう指導したり、その社員が企業で安全に業務を行えるかどうかを判断します。産業医の場合、(メンタル)不調として紹介された社員に対して、まずは身体疾患の有無はないか、また、それにまつわる問題はないかを聴取し、あればそれが第一優先となります。また、精神病性の疾患の有無も判断します。つまり、《疾病性》を優先させているわけです。ここは、もちろん精神科・心療内科医どの医師においても共通しています。その後に具体的な困りごと《事例性》を詳細に聴いていくわけですが、ここからが医師の役割による診療方針の違いとして“カラー”が出てくるのだと思われます。

 一つの例ですが、産業医は企業に訪問し、限られた短い時間で(メンタル)不調者の状態を把握し、人事・労務担当などに産業医としての意見を伝えなければなりません。しかし、企業内では限界があるため、社員の方に、産業医のクリニックへ来院してもらう場合もあります。その際、心理士が予診を取り医師に報告するのですが、20分ほどで、その方の主訴とされていることと、身体疾患の有無などを聴くことになります。
 

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