週刊あはきワールド 2019年8月7日号 No.628

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.64-1

私の耳鳴に対する鍼(灸)治療法

~耳鳴反応点(TRP)の応用を含めて~

明治国際医療大学 鶴浩幸 


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1.はじめに

 耳鳴とは、「身体内部以外に明らかな音源がない状態で感じる音の感覚」をいう1)。その聞こえてくる音に意味はなく、したがって、聴こえる音の内容に言葉や音楽などの意味がある場合は幻聴という。耳鳴と幻聴は明確に区別する必要がある。本稿で扱うテーマはいわゆる耳鼻科領域の耳鳴であり、幻聴ではない。もし、患者が訴える症状が幻聴である可能性があれば、筆者はまず、心療内科や精神科の受診をしていただいた方がよいと考える。

 筆者は、耳鳴に対する治療は基本的に西洋医学的治療と鍼(灸)治療の併用がよいと考えている(統合医療的概念)。なぜなら、耳鳴の原因は多岐に渡っており、すぐに耳鼻科を受診した方がよい疾患(突発性難聴やメニエール病など)や重篤な疾患(聴神経腫瘍など)が潜んでいることもあるからである。鼻科を全く受診していない患者や長期間受診していない患者で耳鳴や難聴を訴える場合の鍼(灸)治療には細心の注意を払い、鍼(灸)治療の適否を見極めることが必要と思われる。効果がみられない場合や増悪してくる場合にも耳鼻科専門医の診断を仰ぐことが重要である。

 特に耳鳴は日々変動することがあり、治療によって一時的に軽減した場合でも再び増悪する可能性があるため、慎重に問診や経過観察を行う必要がある。また、治療の過程で日常生活上のアドバイスを行うことが必要な場合もある。

 筆者は西洋医学的な診断や治療(薬物治療)をとても重要と考えている。それは、疾患によっては必要な薬物治療を行うことにより、仮にその時点では薬物治療の効果がなかったとしても、できるだけ神経などの組織が損傷を受けないようにする、または、できるだけ損傷を少なくすることが重要と考えており、これは後に鍼(灸)治療が効果を十分に発揮するための重要な要素となる場合があると考えている。

 通常は、日常生活で耳鳴が気になって不快な場合や日常生活に支障がある場合に病的なものとして扱われることが多い。自覚的な耳鳴が気にならない方もいる一方で、イライラや睡眠障害などを生じ、日常生活に支障をきたす場合や頚肩部のこりや頭痛、便秘などの随伴症状を有する場合などがある。したがって、慢性的な耳鳴はその程度により患者のQOLを著しく損なうことがある。

 多くの耳鳴は自覚的であり(本人にしか分からない)、原因不明であることも多いため、治療が困難なことがある。薬物治療では効果がないことがあり、日々の臨床において耳鳴に苦しんでいる方が多いと実感する。一方、耳鳴に対して鍼(灸)治療が行われることがあり、鍼治療によって耳鳴が小さくなったり、または、気にならなくなる現象が生じることがある。

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