週刊あはきワールド 2019年8月28日号 No.631

あはきメンタル~動きの心理編~ 第8回

技の学び(4)

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


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 今夏も、野球やテニス、ゴルフなどで日本人が海外で活躍していました。映像で見る日本人選手は、海外の選手と比べて体格で劣っているのは明らかです。日本人選手は、それを何で補っているのでしょうか。

 スポーツのパフォーマンスにおいて、パワーの発揮は、体格の優劣に大きく影響されます。小柄な体格の日本人選手は、パワーで劣る分を安定したフォームから繰り出される正確なパフォーマンスによって補うことで、パワフルな海外の選手と互角に競っているようですね。日本人選手のパフォーマンスの背景にある技の美しさに、私たちは魅了されるのかも知れません。

 技の学びについて、前回は、「知る」と「わかる」の違いについて、尼ヶ崎彬氏の『ことばと身体』(1990年、勁草書房)を引用しながら考えてみました。

 尼ヶ崎氏は、「知る」と「わかる」の違いについて、「知る」が正確か不正確かで評価可能な知識であるのに対して、理解が深いか浅いかという主観的な文脈でしか評価できないことに着目して、「わかる」という事象を「らしさ」という漠然とした感覚表現を使って考察していました。

 また、尼ヶ崎氏は、「らしさ」を言葉で語ろうとするならば、同じ型の経験を与える事例を引いてみせるしかない」としました。事例の引用は、「らしさ」の反応を喚起するというのです。事例を使った説明方略は、「わかる」から「できる」への梯を模索する上で、大きなヒントになることを示唆しています。

 ここでは技の学びに関連して「わかる」ためのアプローチとしての事例を使った説明方略とその理解について考えてみたいと思います。

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