週刊あはきワールド 2019年9月18日号 No.634

全力で治す東西両医療 第41回

日常臨床について気楽に質問のできる文化を

~蜂窩織炎の臨床推論~

 【司会】萱間洋平【参加者】五十嵐惣一・石川家明・木村朗子 


◎第40回 薬大生が感冒の臨床推論に挑戦
      ~「臨床推論」が入っている医療面接をしよう~
      (木村朗子・石川家明)
◎第38回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(27)
      ~災害地へ一緒に行った医学生へ答える~
      (石川家明・園田幸恵)
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【司会】
 萱間洋平:神奈川県鍼灸師会理事
【参加者】
 五十嵐惣一:神奈川県鍼灸師会会員
 石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
 木村朗子:ともともクリニック院長

■症例提示

萱間患者さまの症状について県鍼灸師会会員五十嵐先生から相談がありました。下記の内容です。提示された症例について教育の観点からと臨床の観点から意見を交わしたいと思います。

 蜂窩織炎とのことで予約が入ったがアプローチしていいのか、可能だとしてもどこからアプローチしていいのか、症例を持っている方がおられましたら、どなたでも教えていただければ助かります。

 <90代 女性>
 右足の甲から膝下まで、炎症で腫れあがっているが、現在痛みはない。歩けるが、パンパンに腫れている状態である。糖尿病の既往がある。

■気楽に、質問のできる学習文化を

石川こうやって質問をしてくださることは、とても良いことですね。お互いに日々の臨床について、気楽にたずね合う医療文化を作っていきたいですね。

萱間私もそうなのですが、鍼灸師ってシャイな人が多くてなかなか質問ができない方が多いのではないかと思います。互いの向上になれば、この方のように質問をお寄せいただいて、みなでワイワイガヤガヤ勉強し合うのも良い学習方法だと思います。

石川本当にそうですね。経験できる症例数はしれていますので、皆で持ち寄って検討することによって、疑似症例として増やせばあたかも自分が経験したかのように自分の経験に近いものになって、経験数として増えていきます。

萱間自分一人の枠はたかがしれていますから、五十嵐先生のように開陳してくれると皆の勉強になります。有難いことです。

木村患者の疾患にたいして真面目に対処しようとしている五十嵐先生のスタンスがとっても素敵です。患者さんに対する医療人としての誠実な基本的な資質を感じますね。

石川いや~、ほんとうにそうですよ。簡単なことのようですが、この方のような最初の一歩から物事が始まったりしますので。

木村first penguin、最初のペンギンですね。海に飛び込む最初の勇気あるペンギンがいて、皆が後につづくという。

石川ひとりの勇気あるペンギンの行動から、群れ全体にあたらしい事態が切り開かれるのですね。

木村何事も、開拓者の心意気と勇気ですね。

萱間ええ、大切な事です。常々思うことなのですが、鍼灸師同士がこのように気楽に症例を語り、気楽に質問できる業界のサロンが住んでいる身近な場所に欲しいところです。

石川どうでしょうか? 萱間先生、是非作ってください。とくに社会教育がほぼ皆無に近い鍼灸界ですから、この世界に飛び込んできた人達にはうれしいのではないでしょか?

萱間業界の入口で案内する学びの装置が必要ですね。何とかできないものかと考えています。

石川賛成ですね。ぜひ、一緒に作っていきしょう。

■学びの要素がたくさん入っている日常病のひとつ

萱間この問い合わせですが、どのように思われますか?

石川学びとしてはとてもよい質問です。

木村ええ、ほんとうにそう思います。若手研修医にも提出したい。(笑)

萱間職業教育として、学びの要素が多いご質問だなあと思っていました。罪深い学校講師として私が言うのも変ですが(笑)、病態の鑑別の理解が苦手な鍼灸師はどこから考えたらよいのでしょうか?

石川症例を皆で考える授業って、あまりないですから。萱間先生が罪深いわけではないと思いますよ。(笑)

木村石川先生がいつも皆に示しているランクづけの日常臨床症状としてはとても多いのです。

石川プライマリケアの日常臨床症状の多い順は洋の東西を問わずほぼ同じであるという研究があります。(第40回の図3を参照)「3.皮膚紅斑」としてあるのですが、「1.咳、鼻水、鼻づまり」「2.発熱。寒け」に続いてあります。

萱間ほー、3番目に多いのですか? 意外でした。

石川皮膚紅斑はskin redness の翻訳なのですが、皮疹で赤くなるものをさしているようです。ちなみに4番目が頭痛です。

萱間蜂窩織炎は日常臨床に多くいらっしゃる患者さんですか?

木村私のところは内科ですが、多いほどではないのですが、時々見かけます。

石川実は鍼灸院にも来ているのですよ。足三里、陰陵泉、陽陵泉などを取穴する可能性が多い私たちの仕事では、ほとんどの患者さんは下腿を出しますので。

萱間主訴として来院するのではなく、見つけてしまうのですね。

木村浮腫もそうですね。私たち内科医よりも発見頻度は高いはずです。

■この質問症例、どこから考えるか?

萱間ああそうですか。それで、ともともクリニックの鍼灸師さんたちは心不全の発見ができるのも、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(On-the-Job Training)ができているからですね。心不全の診察はまた次回にさせていただいて、この症例ですが、どこから考えられますか?

木村まず、本当に蜂窩織炎かどうかを疑う。(笑) 

萱間その態度は、オーソドックスですか?
 

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