週刊あはきワールド 2019年11月6日号 No.640

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.67-1

患者や家族に寄り添う鍼灸師でありたい(1)

~死に逝く人と家族に寄り添うとは~

はぎの鍼灸院 萩野利赴 


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 形ある物は、いつかはその形を変え、やがては壊れます。それはとてもゆっくりであったり、時には急激であったりします。この世に命が誕生すれば、いつかは死を迎えます。同じくゆっくりであったり、急激であったりするでしょう。それはある意味大自然の営みであります。

 人は死にゆく人の傍で寄り添うことに努めます。ゆっくりと流れる静かな時間、同じ空気を吸っている部屋の空間であったりもします。頭を撫でている人、手を握っている人、足を擦っている人、涙を流しながら語りかける人。皆、死にゆく人の傍で、いままでの想い出を振り返りながら寄り添っています。まさしくロウソクの火が最後のエネルギーを使い切って消えてしまうように、緩やかなに最期を迎える場合もあります。そこには寄り添ってくれる家族がいるのかもしれません。

 しかし、すべての人が死にゆく時、誰かが寄り添ってくれるとは限りません。生涯孤独を貫いて一人で逝く人。誰も知らない場所で一人逝く人。時には、交通事故のように一瞬で暗い雨の降る冷たいアスファルトの上であったりもするでしょう。まさに死を迎えようとするその一瞬に寄り添うことができなくとも、それは大きな問題ではないという考えもあります。看取りの一瞬にすべてがあるわけではないと。

 家族や親しい人が日頃から共に笑い、悲しみ、または怒りなどを共有していることを寄り添っていることと解釈すれば、例えあの世への旅立ちの瞬間に立ち会えず、寄り添うことができなくとも問題はありません。日頃から寄り添える環境や時間的空間を作り出してあげる努力をすることが私たち鍼灸師の使命や役割ではないでしょうか。

鍼灸師が患者さんの死と向き合う

 鍼灸師は常に生と向き合っています。不妊治療から妊娠、出産、産後、そして小児から成長し、やがては大人となりいずれは死と向かいますが、そうした生命のライフサイクルを意識して向き合っている鍼灸師がまだ少ないように感じます。癌などで余命告知を受けた方や高齢で老衰により死を迎えようとしている方、そして死と向き合っている患者さんは一般的には医療機関、医師や看護師さんに委ねますが、そうした方たちに向き合う鍼灸師がいます。しかし、統合医療の視点から終末医療のチームの中に鍼灸師がいてもいいのではないでしょうか。

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