週刊あはきワールド 2019年11月13日号 No.641

臨床に役立つツボの話 第17話

風邪が治せたなら鍼灸師は一人前

~偶然の魚際がもたらしてくれた鍼灸師人生~

滋賀漢方鍼医会代表 二木清文 


◎第15話 「月経痛」に三陰交が効果あり!(河原保裕)
◎第14話 素晴らしき角孫(天野聡子)
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 編集長から「臨床に役立つツボの話」というお題で話をいただき、すぐ学生時代に自己治療で高熱だった風邪を瞬時に治癒できた話が脳裏に浮かびました。「でも待てよ、確かに魚際を使うことで瞬時に解熱して嘘のように風邪症状はなくなり体調までよくなったのだが、そんな話を書いていたなら素人向けのツボ療法の宣伝番組のようにならないか? あくまでも経穴は経脈上にある反応であり、そのときの治療点だということをまず書いておかねば」とこれもすぐ脳裏に浮かんだが、すでに第1回で首藤傳明先生がいきなり釘を刺しておられました。さすが尊敬する大先輩。そのほかにも姿勢のことややり過ぎない等々、先輩の先生方が書かれていますから今更私ごときが冒頭で付け加えることなど何もないのでありました。

 それでも敢えて書いておきたいのですが、経穴を用いるということはどの経脈上に位置していてどんな関係性があるのか、そして正確に取穴できているのかをいちいち考えながらでないと効果は発揮されないのであります。経絡治療で言う標治法レベルだと大まかな取穴でも構わないのですが、特に狙い目とする経穴はピンポイントで慎重に決定する必要がありますし、本治法の場合はいい姿勢でミクロン単位の取穴が必要です。「鍉鍼(ていしん)なら直径が1mmもあるからよく当たるはず」などと安易に考えていたなら大間違いで、毫鍼はしなりがあるので手法の誤差を吸収してくれますが、ていしんはしなりがありませんから手法がダイレクトに現れてしまうので、絶対値での取穴ができていなければならないのです。ここが「ていしん治療」のハードルであると同時に、鍼灸治療はあくまでも経脈の調整が根幹で刺鍼が条件ではないことの証明になります。

 では、私が症状のある部位と治療ポイントは必ずしも一致しない体験をしたことから説明しないと、「どうして経絡治療の世界にはまったのか」がわかりづらいので前座の話から。

症状のある部位と治療ポイントは必ずしも一致しない体験

 私は滋賀県立盲学校の内部進学のみで育ってきたのですけど、それでも専門課程は技術職であり最初は悲鳴を上げながら自分の下腿へ管鍼術で刺鍼練習をすることで、半年すれば痛みなく銀鍼が押手いっぱいまで刺鍼できるようになりました(最近の専門学校はあまり自分の身体への刺鍼練習をさせないとか自己練習を嫌う学生が多いと聞きますけど、自分で刺鍼時の痛みがわかっていないと患者さんが増えるはずがないというとても簡単なことがどうして理解されていないのでしょうね)。

 1年生の冬に右の血海付近に強烈な痛みが発生してきたので、具体的治療法はまだわかりませんが、腕試しをかねて自分で血海周囲へ刺鍼するのですけど、ほとんど改善しません。ちょうど開業されている先輩と話をする機会があってアドバイスを求めたなら、「その箇所をよく揉んで刺鍼を繰り返しなさい」と言うことですから素直に続けていたのですけど、そのうちに血海付近が赤くなっていて触れるだけでも表面の痛みを感じてきました。それどころか腎経の流注に響くことが何度もあったのに、流注の手応えもなくなってしまいました。大きな灸痕があると流注がそこを避けて通るという話、こんなところで早速に体験です。
 

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