週刊あはきワールド 2020年1月8日号 No.648

症状別、困ったときのこのツボ 第3回

実は痔があって悩んでいたんですと言われたら

新医協鍼灸部会会長・関東鍼灸専門学校講師 手塚幸忠 


1.鍼灸治療の良いところ

 鍼灸治療は、治療院のスタイルにもよるが、多くの場合、他の医療系の職種よりも患者さんと接する時間が多い。その時間の中で、患者さんの悩みや苦しみを聞いてあげて、解決のお手伝いができることを積極的にしていくことで、強い信頼関係が生まれる。私の治療室では一人の患者さんに時間をかけてじっくり治療し、話も聞いているので、様々な悩みを聞くことができる。初診時は何も言わなくても、何回か治療する中で「実は…」的な告白も多い。鍼灸が何に効果があるかを知らなかったからという場合もあれば、恥ずかしくて言えなかったという場合もある。後者の代表格は「痔」であろう。

2.痔とは

 痔は、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の3種類ある。痔核は一般的には「いぼじ」と言われ、肛門にいぼ状の腫れができた状態をいう。裂肛は「きれじ」と言われ、肛門上皮が切れて出血する状態をいう。痔瘻は「あなじ」と呼ばれ、直腸と肛門の境目の小さなくぼみから細菌が入って化膿し、肛門の内と外がトンネル状につながって皮膚の出口から膿が出るものをいう。

 統計によると、軽い痔を含めると3人に1人は痔に悩んだことがあると言われるぐらい一般的な症状で、人には言わないが実は痔を持っているという人は多くいる。

 一日の内の座り時間が長い、「便秘」や「下痢」を繰り返している、排便時のいきみなどが原因で発症する。たとえば、便秘などで便が硬くなると、排便時、肛門の出口が切れてきれ痔になったり、いきむ際に肛門にある血管が集まった部分がうっ血して、いぼ痔になったりする。

3.痔の治療には百会

 私が鍼灸学校の修行時代に、師と仰ぐ先生が「痔には百会のお灸よ」とよく言っていた。しかし「お尻にできる痔の治療で頭にお灸なんて効くのかな~」と半信半疑だったことと、痔の治療をする機会もあまりなかったので、痔に百会というのを忘れていた。鍼灸の資格を取得後、臨床の中で何人かに痔の相談をされたが、主訴ではなかったのと、鍼灸で治ると思っていなかったので、「そうですか~」と聞き流してしまっていた。

 ある日、朝トイレに行って排便した際に痛みを感じ、トイレットペーパーに血が付いているのを発見した。次の日からは排便の時に毎回強い痛みがあり、排便が怖くなってしまった。10年ぐらい前に、座り仕事で徹夜を繰り返していた時に痔になった経験があったが、その時は市販の塗り薬で治した。今回はせっかく鍼灸師になったので、鍼灸で治してみようと思った時にふと「痔には百会のお灸よ」という言葉を思い出した。
 

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