週刊あはきワールド 2020年2月19日号 No.654

緊急アピール

医療者は新型コロナウイルス感染症にどのように対応するか

~患者さんとリスクコミュニケーションをとろう~

 (1)石川家明(2)木村朗子 


(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長

 日々愁訴を持った患者に接する私たちは、新型コロナウイルス感染症にどのように対峙して、リスク管理を行うべきであろうか。また、医療情報を患者や市民に提供する側にいる職業として、合理的なリスクコミュニケーションをどのようにはかるかを考えたい。

 リスク管理を行うためにはリスク評価が必要である。特に今回の新型コロナウイルス感染症では、既存のリスクだけではないこれからやってくるリスクに対する評価であるのでその難易度は高まっている。そのため、現状のリスク把握と評価から、現時点の局面から考えられるこれから起こりえる事象をあげておく「場合分け」の思考が必要である。

 2月18日現在、新しいフェーズに突入したと思われる状況から、以下の4つの「場合分け」が考えられであろう。

1)この新しい感染症は現状ほどですみやかに収束する。
2)ある地域に、集団感染程度には流行していく。
3)全国規模で爆発的流行し、世界的にも広がっていく。
4)免疫の獲得やウイルスの変異などを繰り返しながら新型コロナウイルス感染症は常在化していく。

 上記のうち、1)はすでに感染ルートが定かではない3次感染の患者さんが出現している現在では考えられない。すでに2)の「始まりの段階」が始まったところであろう。今回の感染連鎖の速さから、私たちが全力で取り組むことは、2)の段階でこの伝染病の拡大を終焉させることだろう。武漢のように一つの都市を閉鎖することは、日本ではほぼ不可能と思われる。目標は2)の状態を経過させながら、4)の状態に持っていくことだろう。それには、感染拡大のスピードを極力ゆるやかにコントロールできるかにかかっている。

■日本における新型コロナウイルス感染症の臨床像

 現時点までの、いくつかの論文や報告などをまとめると、現在日本で流行している新型コロナウイルス感染症の臨床像が明らかになってきている。(ただし、2月17日現在)潜伏期間は5日(1~11日)ぐらいで、その後、軽症で済んでしまうパターンと重症化する2つの臨床経過像を理解する。

★軽症の臨床経過像と自宅待機マネジメント
  • 軽症から始まる。倦怠感と悪寒発熱の感冒様症状である。感冒と異なり発症してから3~4日で軽快しないで、症状はながびき、この時に感染力が強い。そのまま1週間ほどたって軽快する。感染者の約半分はこの経過をとる。
  • 自然治癒をはかる。救急外来へ行かせないようにする(少なくとも4日間は。元来、普通感冒もインフルエンザも同様である)。
  • 仕事や学校に無理して行かない。
  • 自室や部屋隔離をはかり、高齢者や慢性疾患をもっている人に近寄らせない。
  • 部屋から出るときはマスクの着用させる。アルコールによる手指の滅菌を行う。
  • やたら周囲を触らせない。触れた所のアルコール滅菌を履行する。
★重症化の臨床経過像
  • 感冒様症状が1週間ほど続いたあとに軽快せずに、倦怠感の継続や増悪、呼吸苦の出現、または腹脹、嘔気、下痢、便秘などの胃腸症状を呈する人もいる。
  • 重症化で入院するのは10日(9.1~12.5日)経ったころである。
  • 肺炎像が見受けられるので、バイタルサイン(特に呼吸数)は重要である。
  • 重症化すると感染力も維持されて院内感染を引き起こしやすくする。
  • 感染した高齢者の1割ぐらいが重症化して、1-2%ぐらいが死亡する。
★若者や小児ついて
  • 統計的に見ると、若者の重症化率と致命率は、極少ない。子供の罹患は軽症が多いが、感染力は大人と同様にあるらしい。


高山義浩:「著作権主張しません。皆さん自由に使ってください。」
出典;高山義浩Facebookから



















■私たちにできること

 感染拡大のスピードをコントロールするためには、地区ごと医療体制の整備はもちろんのこと、医療従事者と市民が協働してこの新型コロナウイルス感染症を理解して、できる対策実施することにある。まさに、医療従事側と市民側のリスクコミュニケーションが成立しなければならない。

 私たちのできることを列挙したい。

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