週刊あはきワールド 2020年4月1日号 No.660

東京2020オリンピック・パラリンピック大会に向けて 第17回

新型コロナウイルス感染症と東京2020大会

筑波大学オリンピック・パラリンピック総合推進室 宮本俊和 


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Ⅰ. はじめに

 2019年12月に中国の武漢市で「原因不明のウイルス性肺炎」として最初の症例が確認されて以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的に拡大することとなった。2020年3月20日現在169カ国にわたり、感染症415,876人、死者18,574人、回復者107,811人となった。この連載を開始した当初、東京2020大会が延期になるとは夢にも思っていなかった。
 
 厚生労働省は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会にかかる感染症対策について公表している(2019年4月24日、厚生労働省衛生局資料)。そこには、「東京オリンピック・パラリンピックでは、様々な国から多くの訪日客の増加が見込まれ、感染症の発生リスクの増加が懸念される。そのため、検疫所では国内に常在しない感染症の病原体が国内に侵入することを水際で防止することを目的として、検疫を強化している。」と記載されている。

 しかし、今回のような感染症が、大会の半年前から世界的に流行するとは思っていなかった。これまでには、オリンピック・パラリンピック大会が戦争で中止になることはあったが、延期になることはなかった。

 1940年には、オリンピックが東京で開催される予定であったが第二次世界大戦のため中止となった。1980年に開催されたモスクワオリンピック競技大会には、ソ連のアフガニスタン侵攻を受け、日本は出場しなかった。そして、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い延期することになった。

 こうしてみると、当たり前のようにオリンピックが開催されるように思われるが、我が国は40年ごとに大きな問題を抱えて来た。

 今回は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い2021年に行われる東京2020大会について取り上げる。

Ⅱ.東京2020大会の開催延期

 新型コロナウイルス感染が、世界中に拡大する中で3月に入り、東京2020大会開催に関する話題があがるようになった。3月、4月に開催予定であった国際大会が軒並み中止になり、オリンピック・パラリンピック代表選手選考に大きな影響を与えるようになった。また、9万人といわれているボランティアの選考はほぼ決まったが、部署ごとの説明会やオリエンテェーションの見通しがつかない状態になっていた。この時点で、実質的に7月、8月の開催はほぼできないことは予想されていた。

 私は,いくつかのボランティアやパラリンピック競技にかかわっているため、開催延期のお知らせとともに東京2020大会組織委員会からの文章が送られて来た。聖火リレーが、3月26日福島県・ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジをスタートする2日前であった。
 

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