週刊あはきワールド 2020年5月6日号 No.664

東京2020オリンピック・パラリンピック大会に向けて 第18回

緊急事態宣言と東京2020大会

筑波大学オリンピック・パラリンピック総合推進室 宮本俊和 


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Ⅰ. はじめに

 前回は、3月24日に東京2020オリンピック・パラリンピック大会の延期が決まったことを伝えた。小池都知事は、翌日の25日には不要不急の外出を控えるよう都民に要請した。

 安倍晋三首相は、2020年4月7日に、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項の規定に基づき「緊急事態宣言」を発令し、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象区域に指定した。

 それを受けて東京都は、4月10日に「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」を発表し、5月6日まで、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に向け、以下の要請をした。その内容は、都民に向けては徹底した外出の自粛、事業者に向けては施設の使用停止及び催物の開催の停止の要請であった。4月16日からは緊急事態宣言は全国に拡大されている。

 政府は、5月4日には、緊急事態宣言を全国一律で5月31日まで延期することを決定した。

 なお、鍼灸マッサージは、病院と同様に医療施設に入るので休業を要請する施設には含まれていない。

 新型コロナウイルス厚生労働省対策本部クラスター対策班の北海道大学の西浦博教授の試算では、外出を欧米に近い形で厳しく制限し、人と人の接触を8割減らす対策を取れば、10日~2週間後に感染者が1日数千人のピークに達しても、その後に対策の効果が表れ、急速な減少に転じることになると説明した。 

 西浦教授は、数理モデルと呼ばれる手法を用いて感染状況を推計する理論疫学の専門家である。

 8割削減と感染者数の評価の妥当性は、クラスター対策班も新型コロナウイルス感染症対策専門家会議も結果をみながらその都度考えているように見受けられる。つまり、感染者数は、新型コロナウイルスの最も有力な検査法であるPCR検査の実施件数に左右されることから、感染者数のみではなく実態を注意してみる必要がある。評価方法は、発表ごとに違っており、第三者評価がされていない状況で緊急事態宣言が続いている。病気は、「検査をして診断し、治療をし、治ったかどうかを評価をする。」過程を踏むが、肝心な検査ができずに評価ができない異常事態が4カ月続いている。 

 今後、1)感染症対策専門家会議のメンバー以外の専門家による活発な討議をすること。2)基礎データなどの情報をできるだけ開示すること。3)記録に残すことなど一般の研究レベルの手法を用いる必要があると思われる。

 しかしながら、緊急事態宣言は、「1カ月以上にわたる外出の自粛、スポーツ施設や学校の休業」など、通常の生活では考えられない壮大な実験でもある。私たちは、1)1カ月の活動制限が鍼灸マッサージを行っている患者に与える影響、2)スポーツ施設の使用禁止やスポーツイベントの中止が患者や選手にどのような影響を与えるかを検証する絶好の機会を与えられている。

 今回は、新型コロナウイルスの特徴を考えるとともに、緊急事態宣言が、スポーツ選手、高齢者、障害者にどのような影響を与えているかを考える。

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