週刊あはきワールド 2020年6月17日号 No.670

緊急アピール16

COVID-19、発生から現時点までの臨床情報のまとめ⑤

~図表で見るCOVID-19③~

 (1)石川家明(2)木村朗子(3)平岡遼 


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(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長
(3)平岡遼:ともともクリニックレジデント

 「図表で見るCOVID-19」シリーズのではCOVID-19のこれまでの感染リンクや、病原性を致死率の観点から、感染性を再生産数の観点からみた。ではCOVID-19の死亡率を上げるリスク因子について紹介し、感染経路の観点から院内での予防対策を当院の実例を交えながらお示しした。③となる今回は、プライマリ・ケアの臨床上COVID-19と似た症状であるカゼやインフルエンザとの違いを視覚的に見ていき、指定感染症としてのCOVID-19をまとめた。

■臨床症状からみるCOVID-19

 数々の報告からCOVID-19は多種多様な症状を呈することがわかってきている。味覚異常や嗅覚異常、結膜炎や皮膚症状が現れるとの報告も多く上がってきている。報告されている症状が多いためこれらの整理をするために、今回はCDCやWHO、UpToDateなどの情報を元に20余の論文報告を参考にして、どんな症状がどれくらいの頻度で現れるかをまとめた。図1に、COVID-19で現れる症状とその頻度を示す。


図1 COVID-19で現れる症状とその頻度



















 報告によって症状の割合の値には差異があるが、複数の報告の中で値が大きい報告と小さい報告の範囲を薄い青の棒グラフで表すことで、その範囲の中におおよそ収束することがひと目でわかるようにした。参考にした論文は末尾に記載させていただく。

 図からCOVID-19で代表的な症状は発熱、咳、倦怠感の3つで、食欲不振も比較的多いことがわかる。ただし、これらは鑑別疾患にも挙がってくるカゼ(普通感冒)やインフルエンザでもしばしば現れる症状であり、これらがあるからといってCOVID-19に特異的と言えるものではない。そこで、COVID-19の特徴として現れる頻度の高い症状がないかを見てみると、味覚/嗅覚障害と息苦しさは他の鑑別疾患で生じることが少なくCOVID-19における特異性が高いことがわかる。味覚/嗅覚障害はCOVID-19が流行り出した当初は認識されていなかったため、報告が上がってきたのは3月を過ぎた頃からである。自覚的に味覚や嗅覚の異常を感じているが他覚的には正常であるケースも多いという報告もあり、34~87%と幅が大きくなっている。息苦しさは重症化のサインでもあるため重要な情報である。

 COVID-19の症状がカゼと異なる点は、咳以外の上気道症状はあまり多く見られないことである。咳が59~82%の患者に出るのに対して咽頭痛は20%未満、鼻症状は5%程度しかない。カゼの特徴はこれら3つの症状が同時期に同程度現れることであるが、COVID-19では3つが同程度現れることは多くない。他の症状に目を向けると、消化器症状はいずれも10%前後であり、少ないと考えてよい。消化器症状がメインの臨床像の場合は、COVID-19は鑑別に挙がりにくい。最近報告が増えている結膜炎については、現段階では1-3%という記述が目立ったが、今後の報告を待ちたい。

■潜伏期間と有症状期間から見るCOVID-19

 Heらの報告1)を元に、インフルエンザとCOVID-19における潜伏期間から有症状期間におけるウイルス排出量を表したのが図2である。黄色のバーは潜伏期間、赤のバーは発症後の有症状期間を示しており、青でウイルス排出量(=感染性あり)のイメージを載せている。潜伏期間や有症状期間には個人差があるため、その範囲を薄い色のバーで表している。
 

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