週刊あはきワールド 2020年6月17日号 No.670

臨床万事塞翁が馬 その25

汗だからとて焦ることなかれ!

大阪漢方鍼医会 森本繁太郎 


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1.汗にまつわる治療の話

 突然なんですが、皆様は汗をどのように扱っていらっしゃるでしょうか?

 「そりゃなんだな、暑ければ出るし、出ればタオルで拭くだけの事だよ、お前さん!」ですか。了解です。

 どうもこちらのお尋ねの仕方がよろしくなかったようですので、少し変えてみましょうかね。

 皆様は治療の折り、患者さんがかいていらっしゃる汗をどのように診察や治療に生かしていらっしゃるでしょうか?

 「なんだそういう事か、そうならそうと言ってくれれば良かったんだよ、お前さん!」「ええっと、汗だよね? 特に気にしていないな! 時間を掛けてじっくり問診をしていれば、その内乾いてくるしなー!」ですか。こりゃ失礼いたしました。

 ところで、『素問』や『霊枢』には汗についての記載が結構ありますので、少し紹介させていただきましょう。

 『素問』経脈論篇第二十一には、「飲食飽くこと甚だしければ、汗胃より出づ。驚きて精を奪わるれば、汗心より出づ。重きを持ちて遠行すれば、汗腎より出づ。疾(と)く走り恐懼すれば、汗肝より出づ。体を揺がし労苦すれば、汗脾より出づ。」とありますし、『素問』瘧論篇第三十五には、「漉漉(ろくろく)の汗を刺すなかれ。」つまり、汗が出て止まらないときは鍼をしては駄目ですよ、とも書かれております。

 また、『霊枢』営衛生会篇第十八には、「血を奪う者は汗なく、汗を奪う者は血なし。故に人の生に両死ありて、両生なし。」つまり、血を多量に失った人は汗の量が少なく、汗の多い人は血が少なくなっている。人は血を失えば死亡し、汗を失っても死亡する。血と汗とはどちらかが一方欠けても存続する事はできない、ともあります。ううーん、なるほど!なるほど!

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