週刊あはきワールド 2020年6月24日号 No.671

緊急アピール17

COVID-19の第2波が来る前に、疑似症例から鑑別を学ぶ

~カゼか、カゼ以外の感染症か~

 (1)石川家明(2)木村朗子(3)平岡遼 


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(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長
(3)平岡遼:ともともクリニックレジデント

 臨床現場でカゼ症状を訴える患者を見たときに、まず考えることは「カゼか、カゼ以外か。」である。私たちが出会う可能性のあるCOVID-19初期の患者の場合も初めは「カゼか、カゼ以外か。」から考えるはずである。この考え方をTOMOTOMOでは「ローランド法」と呼んでいる(意味の分からないかた方は“ローランド”、“ホスト”、“俺か、俺以外か”などで検索してください)。

 前回までは、現時点でわかっている情報を図表でまとめてきた。今回からは実際の症例を提示しながら、COVID-19を含めた様々なカゼ症状を呈する患者をどう臨床判断するかを示した症例集をつくっていく。その間に新しい情報がアップデートされたら随時提示していきたい。

■ウイルス感染はなぜ症状が多彩か

 感冒の疾患定義は学会、成書などでも微妙に異なり曖昧である。様々なウイルスによって引き起こされる、良性の、自然に治癒しうる上気道感染といわれ、急性咽頭炎やインフルエンザ、急性気管支炎、急性細菌性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、百日咳などとは区別される。臨床症状は鼻みず、くしゃみ、鼻閉、咽頭痛、咳嗽、発熱、倦怠感である。

 感冒は誰でも経験したことのある日常病であり、カゼの症状をあげよといえば多くの人が答えられよう。日本ではもっとも多い受診理由であるが、医学教育では何十年と授業に取り上げられなかった経緯がある。そのため、普通感冒のほとんどの原因がウイルスであるのに関わらず抗生剤が簡単に処方されている現状が未だにある。原因となるウイルスは、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラウイルスインフルエンザなどである。ウイルスなので抗生剤は効かない。

 ウイルスの増殖は一つの組織に留まらず、細胞のなかで増殖し、細胞を破壊しては次のレセプターを持つ細胞に広がっていく。一方、細菌は同じ場所に留まり細菌フローラ(叢)をつくって生息する。そのため、ウイルス感染はいくつかの部位に及んだ症状が出るが、細菌叢はその定着した部位の症状のみが顕著に出やすい。

■「カゼを引いている」とどうして言えるのか

 上述したように、感冒はウイルスによる上気道感染症であるので、鼻みず、くしゃみ、鼻閉、咽頭痛、咳嗽などのように一連の局所症状が発現する。すなわち発症初期から鼻・のど・気管の症状がほぼ同等に揃っていない時にはカゼらしくないことがわかる。そのため、他の感染症を感冒と誤診しないために、臨床では下記の「論拠エンジン1」(筆者らの造語)をしっかり頭にたたき込まなくてはならない。

●論拠エンジン1
 「上気道症状が揃わないうちは感冒と言ってはいけない。」

 感冒ではなく他の感染症を疑う症状に発熱の期間がある。一般的に感冒ならば、熱は3日間程度で下がる。よって、4日以内には平熱にはなっていなくとも低下傾向になっているはずである。38℃を超える熱が出ることも少なくないが、感冒の高熱はせいぜい2日くらいしか続かないことが多い。3日続いたら、ウイルスではなく、細菌による感染症の可能性が出てくる。4日間以上の発熱が続けばCOVID-19も鑑別に入ると考える。上記、上気道症状とあわせて推論したい。鼻水や咳は4日以上、その後も続くことも多い。

1)岸田直樹. 一見「風邪」だが実はちがう受診すべき6つの症状.日経Gooday30+.2019.1.9

●論拠エンジン2
 「感冒の熱は3~4日以内で解熱する。4日以上の発熱は他の感染症を考える。」

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