週刊あはきワールド 2020年8月5日号 No.676

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.76-1

私のM-Testによるアスリートの腰痛に対する鍼灸治療法

常葉大学健康プロデュース学部健康鍼灸学科 沢崎健太 


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はじめに(M-Testとの出合い)

 高校の保健体育の先生になろうと思っていた私が、なぜか今は鍼灸学科のある大学の教員をしています。そのきっかけは人との出会いでした。最初のきっかけは高校時代に鍼灸師の免許を持っていた保健体育の先生との出会いです。足を痛めた時に鍼をしてもらい、痛みが消えた経験から、私も生徒の治療ができる保健体育の教員になりたいと思いました。それから、高校卒業後に大学で保健体育の教員免許を取得した後に、鍼灸の専門学校に進学しました。

 その時に専門学校で同級生だった本田達朗先生(現在は鈴鹿医療科学大学)に出会うことができました。本田先生はM-Test開発者の向野義人先生(現在は福岡大学名誉教授)の下、福岡大学大学院スポーツ医学研究室で大学院生と助手をされた後に同じ専門学校に進学されていました。本田先生とは国家試験に向けて一緒に勉強した同級生でもありましたが、大学院で修得されたスポーツ医学や運動生理学など、人生の先輩としても、いろいろなことを教えていただきました。本田先生の存在に大きな影響を受けた私は、専門学校の卒業後に大学院の進学を考えるようになりました。

 そこで、本田先生の紹介で向野先生にお会いする機会をいただき、いろいろとお話を伺うことができました。鍼灸の可能性やM-Test(当時は経絡テスト)について熱く語り、何より私のような未熟な学生に対しても気さくに接してくれる人柄にとても感銘を受けました。その後、すぐに福岡大学大学院スポーツ医学研究室の進学を決め、向野先生の下で大学院生、福岡大学病院の研修生として、鍼灸臨床やスポーツ医学など、多くのことを学ぶことができました。M-Test創世期に関わることができたことも、私にとっては幸運でした。

 もちろん紆余曲折ありましたが、それ以来、M-Testによる鍼灸の普及活動が私のライフワークとなっています。現在はM-Testを活用して、学生と一緒にアスリートへのケア活動を実践しています。

 M-Testは「動きを用いて評価および治療」をするため、非常に簡単で、誰にでも容易に応用できますので、特にビギナーズ鍼灸師、臨床の幅を広げたい鍼灸師、さらに学生の方々に興味を持っていただければと思っております。

 前置きが長くなりましたが、今回の第1週目は「私のM-Testによるアスリートの腰痛に対する鍼灸治療法」と題してM-Testを概説し、次回の第2週目は、「その症例」について紹介させていただきます。

M-Testの概略

1.M-Testの開発者とその経緯
 M-Test開発者の向野義人先生は子供の頃から鍼灸師であった父親の治療で治っていく患者さんを垣間見ながら、鍼灸を医療の中で生かしたいとの熱い思いを抱いて医学を志し、九州大学医学部に学んだと聞いています。1971年には九州大学医学部を卒業、内科医として大学病院などで働きながら鍼治療を実践し、福岡大学スポーツ科学部教授、福岡大学病院東洋医学診療部初代部長などを歴任、現在は福岡大学名誉教授となっておられます。

 向野先生は1989年、福岡大学大学院のスポーツ医学研究室の責任者としての転属がきっかけで、アスリートの治療を多く行うことになり、経絡とアスリートの姿勢やからだの動きをリンクすることで、「動きに伴う身体症状を指標とした評価および治療」ができることを発見しました。この方法論が現在の「M-Test」になります。

2.M-Testとは
 M-Testは、当初「経絡テスト」と呼称していましたが、より広い人が利用できる評価・治療体系の確立をめざして「M-Test」と簡潔な呼称に改めました。

 「Meridian Test:経絡テスト」
 「Motion-induced somatic response Test:動きが誘発する身体症状を評価」
 「Mukaino Method:向野理論」 

から頭文字のMをとって「M-Test」となりました。

 M-Testは、東洋医学の経絡・経穴の考え方を基礎としていますが、身体の動きに伴う症状から病態を把握できるので、その情報をアスリート(患者)とも共有しやすく、職種や専門の壁を越え、共通言語としても有用です。私自身も最初は半信半疑でしたが、誰が行っても再現性が高いことも魅力の一つだと思います。

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