週刊あはきワールド 2020年9月2日号 No.680

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.77-1

九鍼とイノチの視点から本治を考える(前編)

~普段の臨床で私がやっていること、大切にしていること~

草の根はりきゅう治療院 間純一郎 


◎本シリーズの過去記事≫≫  見る
 

はじめに

 「◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例」というテーマで今回お話を頂きました。そうそうたるベテラン治療家の方々が執筆されていて気が引ける感じもしましたが、それぞれの臨床スタイルと経験年数で、治療家が何を大切にしてどのような臨床をしているのかを提示することも一定の意義があるのかと…僭越ながら引き受けさせていただくことにしました。

 本に書いてあるようなことを並べてもつまらないでしょうし、普段の臨床で私がやっていること、大切にしていることをなるべく自分の言葉で書かせていただこうと思います。切り口をだいぶ悩んだのですが、イノチの表現としての症状に日常どのように対応しているのか印象的な症例とともに書かせていただこうと思います。

 鍼灸臨床の世界に入って20年が過ぎましたが、つくづく不思議なアプローチだなあと思います。同じ国家資格なのに臨床家によって考え方(ソフト)も道具(ハード)もかなり違いがあるのに、それぞれに成立しているのですから。刑事ドラマでよく「事件は会議室で起きているんじゃない!!!現場で起こっているんだ!!!」などと怒鳴っているシーンがありますが、鍼灸学校等でアタマに入れた「地図」を頼りに、刻一刻うつろう身体反応という現場と向き合いながらそれぞれの治療家が治療していくことで成立しているのだと思います。

 今回の私の投稿は珍しい部類の臨床スタイルになろうかと思います。鍼灸業界では、主に診断治療のソフトウエアの違いから流派や団体ができている場合がほとんどかと思いますが…私の所属する研究会は主にハードウエア(鍼灸具ほか)の選択を軸に鍼灸の本質を追究している集まりです。そして私の場合、時に鍼灸以外のアプローチも使いながら、患者さんのイノチが活かされる道を患者さんと一緒に探していくスタイルでやっております。

私の臨床のベース

 私の師匠は、日本刺絡学会副会長、東京九鍼研究会会長の石原克己先生です。時に漢方薬も併用処方しながら、多様な鍼灸具(ハード)を必要に応じて使い分けて総合運用するスタイルを基本とされています。また東洋医学の一般的な生理、病理、治療観より広い捉え方で「イノチ」が活きるための適切な診たて・アプローチを追究されています。あはきワールドの方でも掲載されていますので参考にしてください(→記事)。

 鍼灸学校時代、転居した市原市五井で駅の反対側に石原先生の治療院があると知ったのは3年生の時でした。ありがたいことにご縁を頂き、卒業後は東明堂石原鍼灸院のスタッフとして働かせていただきました。日々の臨床のほか、経絡実験の論文のお手伝いをさせていただいたり、地元健康教室に参加させていただいたり、開業後は研究会のスタッフとして…というような感じで臨床実践、養生の基本を学ばせていただいてきました。東明堂では九鍼は日常的に使用されています。九鍼、特殊鍼というと、ついつい刺激の強い大胆な鍼が想像されますが、ご承知のように九鍼の中には、圓鍼、鑱鍼、鍉鍼など接触系の鍼具も含まれています。強い刺激を入れられない患者さんに対しては、適切に見極めて繊細に鍼を接触するような治療もされています。よく先生は「繊細さと大胆さを併せ持って…」と言われますが、それを目の当たりにする修業時代でした。

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる