週刊あはきワールド 2020年10月21日号 No.686

【新連載】偏屈人的私講釈 「酔以入房」から見えて来る気の世界 第1回

道教の気と鍼医学の気の確執(1)

~はじめに・第1章 『素問』と養生~

くすえだ鍼灸院 黒田俊吉 


はじめに

 2020年1月12日に、北里大学白金キャンパスで北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部と日本内経医学会主催の「第七回鍼灸医学史研究発表会」が開催されました。その第一席に「以字考-酔以入房の解-」という演題で左合昌美の発表が行われました。

 この「酔以入房」は「酔って以て房に入る」と読みますが、本来なら「以酔入房」と書くのが本来であろうとの問題提議でした。

 これについては、前から問題になっていたようで、島田隆司講義録『島田隆司素問講座on Net』の中でもこの「酔以入房」について意見が書かれていて、解釈の分かれるところらしいです。

 ただ発表会の中で、本題とは別に「酔って以て房に入る」事はそんなに健康に悪いことなのかという話題になりましたが、その話題は広がりをみせませんでした。

 しかし、ここには現『素問』に潜む問題点や、「道教の気」と「鍼医学の気」との軋轢などが隠れていると思われます。そこでこれを問題提起の端緒として「酔って以て房に入る」を読み解いてみたいと思います。

第1章 『素問』と養生

1.酔って以て房に入るの意味
 ここでは文法的な事は置いておいて、「酔以入房」を「酔って以て房に入る」と単純に解釈して、その意味を「気」という観点から読み解いていきたいと思います。

1)酔って以て房に入るの出典
 この「酔以入房」はどこが出典かというと、研究会の発表においても、『素問』の中の「上古天真論篇第一」の最初のところにあることは説明されていました。

 前後の文脈が分からないと、この一文だけでは十分に意味が伝わらないと思いますので、「酔以入房」の前後の原文を『素問』から記しておきます。さらにその訳も書いておきます。
 

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