週刊あはきワールド 2020年11月4日号 No.688

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.79-1

妊婦さんはこう治す(1)

~ビギナー鍼灸師でも妊婦さんをビビらない鍼灸治療とその考え方~

鍼灸うえだ 上田泰生 


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大師流の治療のカギは皮膚(体表)にある

 鍼灸業界には色々な流派が存在する。私は「大師流」といわれる流派に属する。「大師流」というと 小児はりが有名だろう。五寸釘みたいな小児鍼で小児のからだを撫でていく。見た目の柔らかさとは裏腹に小児の症状は改善していく。小児はりの治療の仕方を大人の治療に応用したのが「大師流」といっても過言ではない。

 今回、この表題「妊婦さんはこう治す」の中に「大師流」の治療方法が含まれているので内容を理解していただくためにも簡単に説明をしておきたい。大師流の考え方として まず第一に患者の体質を、毫鍼体質、灸体質、三稜鍼体質に分類する。それによって使う道具(毫鍼・灸・三稜鍼)が変わってくる。その体質を見極めるのは皮膚である。硬い皮膚なのか、柔らかい皮膚なのか、乾いた皮膚なのか、湿った皮膚なのかなどによって使う道具を変えていくのである。もちろん純粋に毫鍼・灸・三稜鍼とは分けられるケースばかりではないので、毫鍼と灸とか三稜鍼と灸とか組み合わせになることが多い。

 上記のことから体表に対する「触診」が大変重要である。患者の皮膚の過緊張や硬結を探りながら使うツボを決めていくといった反応点治療ということになる。

 次に患者に対しての刺激量である。毫鍼を刺入できる患者もいれば、刺入できない患者もいる。十人十色である。患者に何でもかんでも刺せばよいというものではない。患者が治療の後でしんどくなるのは刺激過剰が原因である。鍼灸師の言う「瞑眩現象」は本来要らないものである。三稜鍼にしてもそうだ。なので、三稜鍼の先を丸めて柔らかい刺激ができる道具もある。灸にしても患者に熱を入れる灸やふんわりと温かい灸をすることが必要となってくる。刺激量の決定も実は、皮膚にある。皮膚の過緊張の緩和や硬結の縮小を目的としてそのことが本来の身体の状態(健康な状態)に鍼灸治療を通して戻していくのである。

 大師流の治療をイメージしたところで、本題に移ろう。

苦手だった妊婦さんの治療が楽にできるようになった

 私は鍼灸歴30年近くになるが、振り返って「上手く治療できた」と言えなかった患者さんは妊婦さんである。鍼灸学校を卒業してすぐ程度では普通の症状の患者さんでさえままならないのに、妊婦さんとなればなおさらである。随分長い間妊婦さんの治療は苦手だった。多分この記事を読んでいるビギナー鍼灸師もそうだと思う。ましてや男性鍼灸師であればなおさらであろう。でも患者さんは来る、妊婦さんも来る。できないでは済まされない。治療したところでうまくいかなければ患者さんの期待を裏切ることになる。
 

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