週刊あはきワールド 2020年11月4日号 No.688

丹塾症例カンファレンス 第2回

鍼灸院にも○○はきます!カゼ症状の相談を受けた症例

 荒川和子×丹塾学術部・小泉豪 


 
発表:荒川和子(ともともクリニック)×丹塾学術部
コメント:小泉豪(丹塾塾頭 立川相互病院総合診療科・国分寺ひかり診療所
       所長)

 私たちの診療で行う自らの判断が、日々来院する患者さんの生命とつながっていることを、どのくらい意識しているのだろうか? 丹塾ではいつもこのような視点を投げかけては皆と一緒に学習会を開いています。

 前回はしくじり症例第1弾として「両大腿後面が痛む70代女性の鑑別にSick Hack」をお送りしました。今回も同じく、9月6日に開催された116回丹塾で荒川先生に発表していただいた1例をご紹介します。

 例会では仲間の症例報告を聞きながら、自分であるならばどう診察するか、どのように電話応答したか、また、どこの思考や知識が不足しているかなど、現場で患者に真摯に向き合った「臨床現場再現」の学習方式で学んでいます。ぜひ、読者の皆さまもこの視点で本症例を読み進めてみてください。

 今回の症例は医療者ならだれでも体験しうるのですが、実際に非常に難しい症例でした。しかし、困難な中で自分に何ができるのかを自問自答することが、医療者の成長の道であり、その自問自答の末にしか、私たちの成長はないのだと確信しています。(丹塾学術部)

*      *      *      *      *      *

★発表…荒川和子

■はじめに

 COVID-19の流行下で多くの医療関係者が感染対策を講じる昨今ですが、臨床現場や電話などでカゼ症状の相談を受ける機会も多いことと思います。この症例は、普段から定期的に膝の鍼灸治療で来院している患者さんのカゼ症状の相談を受けた、というよくある状況でした。

■症例提示 Kさん 73歳女性(X年5月31日 来院)

既往歴)
 左化膿性膝関節炎、左膝人工関節置換術、左膝蓋靱帯断裂靭帯形成術後、骨粗鬆症、卵巣嚢腫、腎結石、唾石。

病歴)
 5月29日、夕方から頭痛(前頭部から前額部)がある。BT36.6℃。夕方に手持ちの小青竜湯、晩に葛根湯を頓用。5月30日、頭痛軽減。鼻水、後鼻漏出現、BT37.0℃、市販の解熱剤頓用。5月31日、当院来院。頭痛軽減傾向だが下をむくと同部位が痛む。鼻水あり。鼻閉、咳、咽頭痛の自覚なし。食欲あり元気。倦怠感なし、節々の痛みなし。頚肩部こりなし。嘔気嘔吐なし。味覚・嗅覚障害なし。

身体所見)
 General appearance良好、歩容良好。
 バイタルサイン:BT36.3℃(平)、BP160/80mmHg、PR88/min、RR22/min、SpO2 98%。
 咽頭所見:咽頭発赤(–)、後鼻漏(+)。
 髄膜刺激徴候:jolt accentuation(–)。

<当時の判断>
 一緒に来院していた夫といつもと同様に談笑され、General appearanceは良好でした。Kさんはカゼを引くといつも鼻の症状がメインで、小青竜湯を頓用し数日の内に寛解しています。頭痛を訴えるのは珍しかったこともあり、髄膜刺激徴候があるかどうか検査しました。また血圧は私が測定すると収縮期血圧が150mmHg台になることがよくあり、持参された血圧手帳を確認すると間近1週間は収縮期血圧130~140mmHgぐらいであることからも血圧の変動はなさそうだと判断しました。症状が軽減傾向であることもあり様子をみて大丈夫だろうと考えました。

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる