週刊あはきワールド 2020年12月2日号 No.692

丹塾症例カンファレンス 第3回

寝起きから急に始まった激しい腹痛

 平岡遼×丹塾学術部・小泉豪 


 
発表:平岡遼(ともともクリニック)×丹塾学術部
コメント:小泉豪(丹塾塾頭 立川相互病院総合診療科・国分寺ひかり診療所
       所長)

 日常臨床の中でよく訴えられる症状の中でも、腹痛は鑑別しなければいけない疾患が多く、少し時間が経てば治ってしまうものから緊急性の高い疾患まで広く含まれます。「お腹が痛い」と患者さんに言われたとき、緊張感が高まる人も多いのではないでしょうか。この丹塾症例カンファレンスの第1回、第2回では患者さんの症例を元にした話でしたが、今回お腹が痛くなったのは患者さんではなく私自身です。今回は、私が先生方に連絡したメール文を通して、実際に患者さんや家族や知人などから同じようなメールが送られてきたらどう考えていくのか、また送る情報で不足していたことはなんだったのか、考えていきたいと思います。注意したいのは、病気当てクイズではないことです。腹痛患者を前にどうやって臨床的に思考していくかを考えていきましょう。

■「お腹が痛い」と言われたら、まずは危ない疾患ではないか?の思考

 夏季休診中の8月21日のことでした。運がいいのか悪いのか夏季休診の連休中日に、私は朝からこれまでに感じたことのない強い腹痛を感じ、結果的に6時間ほど痛みを耐え忍び一日をほぼ潰してしまいました。症状の落ち着いた夜10時過ぎに先生方にまず速報のメールを送りました。

第1信<8月21日 22:15>
先生
本日朝から右腹部に強い痛みがあり、激しい痛み(へそ周囲~右腹部)→近医受診→帰宅してしばらくして痛み寛解→疲れて寝る→再び激しい痛みで目覚める(右上腹部)→3hほどで寛解→疲れて寝る→先程起きて夕飯を食べました。今は腹痛0です。詳細はのちほどお送りします。

 酔って寝てしまった先生がこのメールを見たのは翌朝のことでした。前日の夜に届いたこのようなメールを翌朝に読んだらまず何を思いますか? 丹塾の勉強会中で最も多かった皆の意見は「また連絡してくるだろう」でした。しかし先生が感じたことはこれとは違い、「まだ生きているな」だったそうです。病歴を見て、いの一番に危ない疾患かどうかを自然に考えたから、「(この病歴なら、今朝は連絡がきていないけど)まだ今日は生きているな」と感じたのです。大事なポイントは、腹痛と聞いたときにすぐに「危ない疾患ではないか?」と自然に思考できること、そしてその可能性をある程度自分で判断できるようになることです。この4行の内容だけで「まだ生きているな」と論理的に判断するのは、なかなか難しいことです。
 

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