週刊あはきワールド 2020年12月9日号 No.693

しくじり症例から学ぶあはき臨床 その4

小さな失敗例あれこれ

~鍼灸臨床49年、××が原因で二度と来なくなった患者様たち~

(一社)日本はり医学会名誉会長 宮脇優輝 


はじめに

 鍼灸免許を取得して来年で50年になる。ひとことでいうと苦しい鍼灸師人生であった。

 小さいころから将来は、建築関係の仕事か、家具を設計デザインするような仕事を夢みていた。自分の目の悪いことも忘れてである。当時視力は0.2であったから望むのも仕方がなかったと思う。そしてなんとかスチールサッシュの設計の仕事をした。楽しかった。でもそれ以上苦しかった。視力がないため。そして鍼灸の道に入った。

 解剖学や生理学はとても面白かった。もちろん他の科目もみんな好きであった。しかし、臨床はあまり面白くない。それは学校で習ったとおり、教科書に書いてあるとおりに治らないからである。

 昔の仕事だったら図面に書かれたとおりに品物ができてくるのである。このような心の挌闘が患者様を治す邪魔をしてきたのである。

 そこで今回のテーマである『失敗例』であるが、数え切れないほどある、そして数え切れないほど忘れてもいる。その中で今回は小さな失敗をいくつか挙げるので、読者の参考にしてほしい。

症例1)
患者様に治療をしない方がよくなったと言われた症例

 約25年ぐらい前、週に2回隣の区からバスに乗って治療に来院していた患者様が、家庭の事情で3カ月ほど来られなくなった。4カ月ほど経ったころ、電話があった。再来院の予約と思い声をはずませて応対。

 「先生、お陰様で治療に行かなくなったらすっかり良くなりました。ありがとうございました」と。その後、その患者様は今まで一度も来院していない。
 

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