週刊あはきワールド 2020年12月9日号 No.693

偏屈人的私講釈 「酔以入房」から見えて来る気の世界 第3回(最終回)

道教の気と鍼医学の気の確執(3)

~第3章 鍼医学に道教は後ろ向きか・まとめ~

くすえだ鍼灸院 黒田俊吉 


第3章 鍼医学に道教は後ろ向きか

1.道教と医学
 このように鋼鉄の鍼のおかげで鍼医学は完成したと推論することが出来ると思います。この鍼という治療道具は、想像以上の医療効果を発揮したことでしょう。

 この当時の診断学が優れていたことは前にも書きましたが、鍼以前の治療方法は薬草とお灸と砭石でした。

 多分鍼は、砭石や灸より当時の重要な病に対する治療効果は非常に高かったのではないかと思われます。それは、仮定ではありますが、わずか100年弱という短期間に膨大な実験がなされ、成果が積み上げられ、鍼医学という体系が作り上げられたという実績からも想像できます。

 鍼医学が出来、気が体内を循環する経絡思想は、医学的な気思想と同時に病を治しているという実績から、庶民にも受け入れられた理論となったはずです。

 道教は教団の基本理念を老荘思想に置いているため、気を大変重視してきた教団です。

 道教教団がある程度成立し出した紀元200年ごろに、道教は使えるものはなんでも吸収する庶民のための宗教ですので、経絡理論は体に気を回す理論に使うために利用したと思われます。

 それでは鍼医学は全面的に道教に受け入れられ、その後の鍼医学発展に寄与し共存共栄できたのかというと、そうではないと思います。

 道教が、医学を取り込むためには、自分たちに都合の良い理論でなくてはなりません。そこで、道教の教祖としている道家思想、つまり老子・荘子の時代よりも古いと思われる砭石とお灸について当時の状況をもう一度復習しておきます。
 

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