週刊あはきワールド 2020年12月16日号 No.694

全力で治す東西両医療 第48回

オンラインで臨床実習はできるのか

~膝痛は触診ができないと鑑別ができない②~

 (1)石川家明(2)木村朗子 


◎第45回 ともともクリニック全力カンファレンス中継(32)
       ~蠡溝と中都の効能を求めて、あれから10年④~
       (荒川和子・石川家明)
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(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長

 オンラインでの講習会に慣れてきたけど、手技を伴う臨床実技を伝達するのはやはり難しい。整形外科疾患は触診ができないと診断ができないので、その悩みは一層大きい。文字通り手探りで始めた膝関節痛の鑑別講義の第2回目の「振り返り」をオンラインセミナーで学ぶ「新しい学習様式」の読者と共有したい。

■オンライン方式で膝の触診講義を始めてみた

石川今年も早くも師走になりましたが、勉強会も学会もオンライン方式に明け暮れました。私たちもようやく慣れてきました。それ以前のFace-to-Face(対面)講習会でも、ベッドサイドで行う実習とは同じにはできない悩みがありましたが、オンライン講習会ではなお一層難しくなるなと危惧していました。

木村医学部では、何とか解決策をということで、さまざまな工夫がなされています。機材をたくさん導入して画面の向こうで見ている学生に何とか立体的に、臨場感が出るようにして、理解させようと試みています。でも、やはり細かい指導ではFace-to-Face授業にまさるものはありません。私たち民間での勉強会では、例えばカメラを何台も導入して、画面を自在に切り分けて見せるのは現実的には難しいですね。

石川前回の号でもお話しましたが、オンラインのコンテンツ学習に得意なものと、不得意なものがあります。参加型での実践臨床手技はかなり難しいですね。

木村ひととおり分かっていて、ある程度経験のある医療者が学ぶのとは違って、初級学習者が手技をともなう臨床実習を学ぶのは困難でしょう。ここがまた教育の悩みを深くするのですが、受講者たちは理解が不十分でもなんとなく分かった気になってしまうこともあります。

石川そうですね。前回は膝の鑑別に大切な関節裂隙の触診を試みましたが、ネットの向こうにどれだけ伝わったのか心もとないですね。2回目の時は膝蓋骨に関する触診を行いました。2回とも、こちらの方が不安になりながら行っています。(笑)

木村2回目は膝蓋骨の不安定性をみる検査などですね。心が不安定になっちゃう。(笑)でも、オンライン実習でも分かりやすい手技を選んでいましたね。また、高齢者の膝痛とスポーツ障害の膝痛の比較は聴いていて面白く、印象づけるやり方は初心者にとって覚えやすかったのではないでしょうか。

石川ランナー膝ですね。ご老人は少し余計に歩くだけでスポーツ障害と同じ痛みを訴えるので、スポーツ障害の診察が得意な人は、本来高齢者も診やすいはずです。それに筋・腱の痛みを診る原則を分かっていれば、医療面接の早い段階で「普段よりも歩いていませんか?」と原因を見つける問診がすぐできるはずです。

木村オンラインセミナーの時は、講義のスピードが早すぎて私には分かりにくかったのですが、膝痛で来院した高齢者に、触診で痛む部位を確認していましたね?

石川ええ、そうです。高齢者の膝痛をすぐに変形性関節症と診断してはいけません。筋痛、腱痛の原則はテンションがかかる付着部痛です。

木村腸脛靭帯ならばGerdy(ガーリー)結節に付着するので、ほとんど膝関節痛と間違えますね。これは明らかに関節内の痛みではなく、関節周囲痛ですね。

石川患者とGerdy結節の付着部が痛いと同定した後、大腿骨外側顆部の圧痛、また筋腹である風市穴のこの3点に圧痛著明であれば、腸脛靭帯炎(ランナー膝)であると疑います。同時に、他の膝疾患を除外できれば、腸脛靭帯炎と見てよろしいかと思います。

■ウィンナ・ワルツか、アルゼンチン・タンゴか

木村それと、半月板損傷の検査であるマックマレーテストのスマートな仕方は参考になった人もいるのではないでしょうか。圧アプレーとか、引きアプレーとかは、教科書を見てほぼ正しくできる人は多いでしょうが、マックマレーテストは自分のやっている手技が正しいのかどうかはおぼつかない。
 

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