週刊あはきワールド 2021年1月6日号 No.696

丹塾症例カンファレンス 第4回

訪問鍼灸マッサージ師の悩み

 綱島さなり×丹塾学術部・木村朗子 


 
発表:綱島さなり(リプラス / 鍼や鍼灸院)×丹塾学術部
コメント:木村朗子(ともともクリニック院長)

 第1回、第2回では鍼灸院に来院する患者さんの症例から、第3回では治療者自身が先輩に、自身の腹痛をメールで相談した症例から学びました。今回は、訪問の現場で遭遇した3症例を紹介します。3年前の受領委任払制度開始から、大手企業も訪問マッサージ業界に多数進出して需要と供給が増しています。医療者として社会に貢献できる人材の育成が業界の発展に寄与すると感じています。また、医療機関や鍼灸院のようにその場で相談できる上級医や先輩がいないことも特徴であり課題です。

■はじめに

 超高齢化社会の日本において訪問鍼灸マッサージの需要は高まっていると思います。介護人材の不足が問題となる近い将来、鍼灸マッサージ師が医療者として高齢者およびその家族に介入することで寝たきり予防、疾病の早期発見、早期受診に繋げることでの医療費、介護費用の削減に寄与できるのではないかと感じています。一方で、鍼灸マッサージの技術や知識が有益であり目標達成を目指せるツールであっても、実際には難しいのが高齢者の診方です。

■症例1 Aさん 100歳 女性 BMI:16.8(X年9月11日訪問)

既往歴)左大腿骨転子部骨折、左変形性股関節症術後、腰椎圧迫骨折、骨粗鬆症、肋骨骨折、高血圧症。

病歴)5年前、左大腿骨転子部骨折後歩行困難で訪問マッサージ開始。1カ月で座位保持可能となり、2カ月で室内歩行可能となる。屋外での車椅子からの滑落、室内での転倒など寝たきりの危機が複数回あったものの、毎回1カ月程度で快方に向かい乗り越える。1年前から主訴が下腿浮腫となり鍼灸治療開始。高血圧(170-180/60-70mmHg)と胸水あり、降圧剤と利尿剤追加となり症状改善していた。COVID-19のためデイサービスを自粛したため、訪問入浴、訪問リハビリのサービスを導入した。その後、屋外杖歩行も可能となったため、介護サービスを中止していた。訪問診療導入の予定なし。便秘があり下剤服用で3日に1行程度の排便頻度。下剤から麻子仁丸に変更し、半包/日でコントロールしていた。X年8月、排便3日間なく、平素より多く麻子仁丸を服用後に下痢をして直腸脱発症。訪問時それまでは洋服を着ていたが、当日は寝巻着用しており、直腸脱が気になり何度もトイレへ行っていた。3日前に咳が出るので近医受診していた。右乳房が腫れたので質問するが、専門外なので診られない、と言われた。

身体所見)意識晴明、体温:36.4℃、血圧:153/93mmHg、脈拍:108bpm、呼吸数:16回/分、呼吸音:異常なし、心音:異常なし。
 

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