週刊あはきワールド 2021年1月27日号 No.699

Let’s はりきゅう遊学 第80話

『灸炳塩土伝』

~目次と条文との差異・日本伝来の四花~

お灸とハリ治療の専門家 福島哲也 


◎過去記事≫≫  もっと見る
 
 最近、「黙食(無言で食事を摂ること)」や「黙トレ(無言でトレーニングをすること)」というコロナ禍が生み出した新語(造語)を目にし、耳にも入ってきました。まあ、鍼灸の世界にも不問診というものがありますから、「黙鍼」や「黙灸」が推奨されるような事態になっても望診や脈診に長けた名人なら証立て(診断)には困らないでしょう。また、鍼治療は無言での施術も可能だと思います。ただ、お灸の治療は、世間話や冗談を交えながら明るく楽しく行うことが多いので、私を含め大勢の口鍼(くちばり)の使い手たちがその妙技を封印されたら、多少なりとも治療効果に影響があるのではないでしょうか。

目次と条文との差異

 私にとっては『名家灸選』三部作(和気惟享・平井庸信 編著)や『鍼灸阿是要穴』(岡本一抱 著)と並び、「灸臨床の友」あるいは「困ったときのアンチョコ(参考書)」ともいうべきもので、「もう一つの名家灸選」ともいえる書物に『灸炳塩土伝』(きゅうぜつえんどでん)があります。

 この書は、宝暦8年(1758年)に三宅意安(江戸中期の和方家)の著した灸法の専門書で、全2巻からなり、和漢の諸書に記載のある古来の灸法だけでなく、その変法や在野(民間)で行われていた無名氏の伝承など、さまざまな灸法を「日本伝来〇〇灸法」として、合計67条集録しています。ちなみに、書名の由来は『日本書紀』巻第二・神代下の一節に出てくる「塩土老翁(しおつつちのおじ)」からだそうです。

 最近は、古典籍や貴重書などもインターネット経由で無料閲覧できるようになってきているので、「京都大学貴重書デジタルアーカイブ」から『灸焫塩土伝』の原文を覗いてみました。資料は版本ではなく、筆書きの写本なので全文読破とかの無謀なチャレンジは今回もせずに、まずは巻1の「目次」と「本文中の条文タイトル」を調べてみることにしました(下表参照)。
 

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる