週刊あはきワールド 2021年2月3日号 No.700

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.81-1

殿部痛はこう治す!(1)

~殿部痛の評価と鍼通電療法~

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師 徳竹忠司 


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Ⅰ はじめに

 あはき師の免許を取得して間もない頃、腰痛を主訴とした新患の対応をしました。面接など一通り終わり、腰部のどのあたりを施術すればよいかを決めるために、身体診察を行いました。その段階になって、患者のおっしゃっている「腰」が、私の思っている「腰」ではないことに気づきました。患者の腰痛は解剖学的部位で言えば「殿部」でありました。なんとも間抜けな経験です。読者の先生方には、このようなことはないと思います。

 以来、腰痛を含めて、患者の訴える自覚症状の部位については、言葉だけではなく、具体的な部位の確認を、まず初めに行うこととしております。

 「殿部」と聞けば解剖学を修めた私たちは、概ね次のようにイメージができると思います。「殿部は上縁を腸骨稜、下縁を大腿後面との間に生じる殿溝とし、内側縁を仙骨外縁から殿裂、外側縁を大腿筋膜張筋とした軟部組織に占められた1対の領域で、仙骨部の両側に存在する1)」。

 しかし、臨床面から見ると「腰部」に含めて考えるケースもあります。腰痛診療ガイドライン20192)では、腰痛の定義の「腰の部位」の項目では「体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にある」となっています。

 腰部痛と殿部痛は、分けて対応した方がよいと思っています。理由としましては、腰椎由来の症状だけではなく、殿部局所の問題も当然存在しているからであります。

 本稿では殿部痛の病態の考えと対応策(鍼通電療法)について情報提供を試みたいと思います。

 ちなみに、先にあげました「腰痛診療ガイドライン2019」における鍼治療のエビデンス・推奨度において、誤情報が記載されていることを山下ら3)が指摘をしています。文献2)3)はwebで閲覧可能ですので、興味のある先生はご覧になってみるのもよいかと思います。

Ⅱ 殿部痛を来す可能性のある責任部位

 殿部痛を以下のように分けてみます。

1.殿部の構成要素に責任がある
1)骨格筋:大殿筋・中殿筋・小殿筋・梨状筋等の股関節深層回旋筋
2)関節:股関節・仙腸関節
3)神経:中殿皮神経・上殿皮神経
4)血管:内腸骨動脈系からの血管

2.殿部以外の要素に責任がある
1)内臓器由来
2)腰椎由来
(1)神経根障害(ヘルニア 椎間孔障害)
(2)上殿皮神経絞扼障害
(3)連関痛
 ①腰椎椎間関節
 ②脊髄神経後枝内側枝
 ③腰部多裂筋

 上記の責任部位から鍼治療が適応となるか否かの判断も含め、効果を上げられると考えるものについて、解説と症例体験を記載します。

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