週刊あはきワールド 2021年3月10日号 No.705

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.82-2

血管性の間欠跛行に対する鍼灸治療法とその症例(2)

~血管性の間欠跛行の症例~

東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科 安野富美子 


◎本シリーズの過去File≫≫  見る
 
 前号では、血管性の間欠跛行(閉塞性動脈硬化症)患者を治療する際に必要な知識と私が行っている鍼治療の方法について解説した。今号では、心に残る血管性の間欠跛行の症例を紹介する。

Ⅳ.間欠跛行に対する鍼灸治療
  -血管性の間欠跛行を主訴として来院した症例-

【症例】
 64歳の男性、出版社の編集者。

【初診日】
 X年5月31日。

【主訴】
 歩行時の右下腿後側部痛。

【現病歴】
 症例は、40年以上にわたり、編集の仕事を行っていた。定年を控えた、ゴールデンウイーク明けの5月6日、自宅からバス停まで歩いていると、突然足が痛み歩けなくなった。しばらく休んでいると、歩けるようになり、その日は、無事に出勤した。その後も、自宅からバス停までの間、200メートルぐらい歩くと足が痛み歩けなくなるが、休むと歩くことができるようになるという症状が続いたため、友人のA鍼灸院を訪ねた。A鍼灸院から、ASOの疑いで紹介され、同年5月31日来院した。

【合併症】
 高血圧(30代~)、痛風(63歳~)。

【生活歴】
 喫煙歴(20歳~)、40本/日×44年、仕事上の飲酒が多い。

【初診時現症】
 身長169cm、体重63kg、血圧180/90mmHg、脈拍74拍/分(整:不整脈ではない)。右下肢の間欠跛行が200mの歩行で生じる。冷感が右足部にある。身体診察では、腰部の可動域は十分で疼痛はない。FFDは、0cmで柔軟である。後屈テスト(-)、SLR:90°(-)、Kemp徴候:(-)、神経学的所見も、反射、触・痛覚・温度覚など、すべて異常はみられなかった。下肢挙上試験は、右が陽性で、左は陰性であった。動脈拍動は、右の膝窩・後脛骨・足背動脈が触知困難、左は触知可能。右下腿から足趾の皮膚温の低下がみられた。ABPI(上下肢血圧比)は、右0.45、左0.83であった。そのほか、食欲、睡眠は良好で、肩こり、腰痛等の症状もないとのこと。顔面部は紅潮ぎみで、舌質紅、弦脈。
 

(続きはログイン・ご購読後にお読みいただけます)

この記事の続きをお読みいただくためには、週刊『あはきワールド』(有料コンテンツ)のご購読手続きが必要です。

ご購読の申し込み ログイン(ご購読済みの方はこちら)




トップページにもどる