週刊あはきワールド 2021年5月12日号 No.713

緊急アピール32

あなたは新型コロナワクチンを受けますか?

~感染症の歴史を振り返り自分で判断しよう~

 (1)石川家明(2)木村朗子(3)平岡遼 


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(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長
(3)平岡遼:ともともクリニックレジデント

 新型コロナワクチンの高齢者の優先接種がはじまり、患者さんからのワクチンに関する質問や「接種の予約とれました」などの声を聞くことが増えてきました。学術的にこのワクチンについて学ぶと、必要以上に恐れるべきではないと感じていますが、一方でテレビなどでは極端な副反応報道が目立っていたり、ワクチンはなんでもかんでもとにかくだめ!と思い込んでいたりする意見も耳にします。接種は義務ではなくあくまで権利ですので、するのもしないのも自由な意思のもとに決定するものですが、適切な情報の不足や過大にふくらんでしまった恐怖から接種しないのはあまりにも不条理です。今回は、ワクチンを接種するべきかどうか自分で判断するための客観的なデータをまとめました。緊急アピール30からのアップデートもご紹介します。

■石を投げられた牛痘種痘を広めた先駆者たち

 古代から人々を恐怖におとしめている伝染病ですが、医学史を振り返ってすぐ思いつくのは天然痘(私たちの世界では、「疱瘡」や「痘瘡」の方が慣れ親しんでいる?)です。エジプトのミイラにも痕跡があるというので人類の歴史とともにあり、また感染の拡大状況からみても世界中で恐れられていた歴史上最大の伝染病でしょう。わが国の最初の大流行は730年代の平城京の頃で、長谷寺の大仏建立に繋がったとされています。神仏に祈るしかなかったからです。

 日本に牛痘法が渡来したのは江戸末期でした。致死率は30%弱ぐらいでしたが、幼児や妊婦では高く50%近かったと言われています。運良く一命を取り留めても、顔や全身にできる痘痕(あばた)や失明(伊達政宗が有名)の後遺症なども罹患した人のその後の人生に重くのしかかりました。運搬も冷凍庫のない当時は、「人伝苗」といって、健康な子供達を使って膿汁を人から人へ移してリレー式に運びました。なかには発症したり、他の感染症で命を落としたりもしたそうです。

 命がけで用意した「種痘」ワクチンでしたが、当時の人の反発は激しく、接種すると発病するとか、牛になるとかの思い込みの流布ばかりではなく、投石などによる襲来もあったとのことです。それでも、若い蘭方医の医学への志は(町人や下級武士も医学の道へ入れた。このあたりは、手塚良庵の子孫である手塚治虫の「陽だまりの樹」(小学館)を参照されたい。)、縦割りの藩を越えた自らのネットワークを使い、なんとあの時代に半年で種痘ワクチンを全国に広げました。

 日本では1955 年を最後に天然痘患者の国内発生はなくなり、1976 年に種痘を中止しました。WHOは1977年ソマリアにおける患者発生を最後にして、さらに2年間の監視期間を経て、1980 年5月に、世界人類を苦しめ、文明や国家までを滅ぼしたといわれる天然痘の世界根絶宣言を行いました。

 さて、2020年代に生存している私たち、そして日本国に生まれた医療者として、この新しい感染症にどのように対峙して、東西両医学を使って市民の健康に寄与できるかを改めて熟考する時期であると考えています。

参考1)加藤茂孝, 人類と感染症との闘い. モダンメディア,55巻11号, 2009
参考2)根澤茂, 館長の豆知識(6) 集団予防接種のさきがけは江戸時代の佐久から
https://www.city.saku.nagano.jp/shisetsu/sakubun/gorobekinenkan/
mamechisiki/mamechisiki06.html

参考3)伊藤卓雄, 幕末維新期に種痘の普及に献身した医師たち.
http://home.b05.itscom.net/kisoh/hyoron.health1.html
参考4)手塚治虫,「陽だまりの樹」,小学館文庫

■ワクチンを受ける?受けない? 現状を変えることを恐れる日本

 突然ですが、質問です。新型コロナワクチンが自分に接種できるようになったらあなたは受けますか?
 1.受ける 2.どちらかといえば受けたい 3.どちらかといえば受けたくない 4.受けない

 あるリサーチ会社が15カ国における75歳以下の成人集団にこの質問をした結果が公表されています。
 

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