週刊あはきワールド 2021年6月2日号 No.716

丹塾症例カンファレンス 第5回

救急対応とERへの診療情報提供書(紹介状)の書き方

立川相互病院総合診療科・国分寺ひかり診療所 小泉豪 


第4回 訪問鍼灸マッサージ師の悩み(綱島さなりほか)
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 ERへの誘導と聞くと敷居が高い気がしますが、躊躇してはいけない場面に出くわすことがあります。救急対応の流れとその紹介状の書き方について、実症例を通じて一緒に学びましょう。

 本症例は内科一般外来に来院された患者様ですが、柔整鍼灸外来にも同様症状で来院する可能性は十分あります。あなたの治療院に来院されたと想像しながら対応を考えていきましょう。

【症例】74歳、女性
【主訴】めまい、嘔気
【現病歴】本日朝7:30頃、仕事場で目の前が真っ暗になり、気持ち悪くなった。嘔吐はなし。1時間ぐらい休んでやや落ち着いたが、動くとめまいと嘔気症状が再燃。気になり臨時で同日の内科外来を受診。

 過去カルテから既往歴、家族歴等を見ます。

【既往歴】39歳:帝王切開、48歳~:高血圧、59歳~:過活動膀胱、64歳~:糖尿病指摘メトグルコ開始、65歳~:血小板増多あり血液内科併診
【生活歴】大学の清掃の仕事、飲酒:機会飲酒、喫煙:なし
【家族歴】父脳梗塞症、母認知症
【内服薬】メトホルミン塩酸塩錠250mg4錠、カンデサルタン錠4mg1錠、アムロジピン錠2.5mg2錠、プロピベリン塩酸塩錠10mg1錠
【家族環境】兄弟:4人いるが音信不通、夫と離婚し5人の子供とも音信不通 キーパーソン:友人女性

■問診で追加することは何があるでしょうか? 考えてみましょう

 主訴は「めまい」であり、まずはめまいの問診追加は必要です。

・過去にこのようなめまいはありましたか?➡︎「初めてです」
・めまいの性状は? 失神性か動揺性か回転性か?➡︎「フラフラする感じ、回転はしないです」
・めまいの持続時間は?➡︎「労作時のフラフラ感がずっとです」
・蝸牛症状(耳鳴り、難聴)は?➡︎「特にないです」
・頭位変換でめまい誘発は?➡︎「ないです」
・手足の痺れや麻痺は?➡︎「ないです」
・頭痛は?➡︎「ないです」
・ものが二重に見えることは?➡︎「ないです」
・呂律不良は?(観察)➡︎なし

 中枢神経症状、蝸牛症状、反復性、持続時間の問診は必ず行います。

 次に嘔気があったことから、消化器症状の確認をしてみます。

・下痢や便秘はありますか?➡︎「特にないです」
・腹痛はありますか?➡︎「激しい痛みはないが胃の調子が悪い感じがあります」
・その他気になる症状はありましたか?➡︎「嘔気時に冷汗が出ました」
・便の色は黒色になったり血便になったりしていませんか?➡「いいえ」

 ここまでの問診で、「あっ、急がないとまずいかもしれない」という、診療スピードのギヤが一段上がりましたが、どのキーワードか気がつきましたか?

 焦る心を抑えつつ、来院時のバイタルサインと身体所見を確認します。

【来院時所見】
独歩で来院
バイタルサイン:血圧165/93、脈39-53(不整)、SpO2 99%、呼吸数18
結膜軽度貧血+、黄染ー
心音不整、胸部痛ー
心窩部の違和感・軽度圧痛+
下腿浮腫ー

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