週刊あはきワールド 2021年7月7日号 No.720

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.85-1

頚肩腕痛はこう治す!(1)

~頚肩腕痛に対する私の治療法~

いわなみ鍼灸院院長 橋本厳 


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Ⅰ.はじめに

 鍼灸院において頚部、肩部、腕部の範囲の訴えを扱うことは多い。そのほか、内科的な症状の随伴症状であることや、全体的な愁訴の一部に含まれることも多い。さらに、頚肩や腕から手指にかけてのしびれ等の感覚障害を伴う場合もある。頚肩腕の広い範囲のこり、疼痛、しびれなどの症状があり、他の整形外科疾患が否定され、画像診断などで病因を特定できないものを頚肩腕症候群と呼ぶ。ちなみに、鍼灸治療においては、頚腕症候群が保険適応疾患である。

 昨年からのコロナ禍においては、自宅でのテレワークが導入されるなど、デスクワーク環境の変化によっても頚肩部の症状が増えているように思う。これは、気が晴れないというレベルから、気分障害にあたる症状においても、頚部に影響があることもある。

 頚肩の症状に、しびれがある場合は頚椎に問題があることが多く、気を使う。しびれがある場合、どの部位であっても原則としてめまいやろれつが回らないなどの中枢神経症状を伴う場合や、明確な麻痺を発症している場合などはそのまま鍼灸治療に入るべきではない。直ちに医師の診察を受けてもらう必要がある。初学者は、鍼灸治療において、そのような症例を目にすることがないように思うかも知れないが、患者の立場で考えたとき、鍼灸を選択するモチベーションが決して前向きでない場合も存在する。日常感じている違和感が徐々に痛みやしびれなどのはっきりした異常に変わっていく過程で不安が大きくなると、病院に行くほどではないが鍼灸治療でおさまれば結果的に大事ではなかったと言える(と言いたい)心理状態が発生することがある。多少の異常が生じた場合でも日常の正常範囲と捉えて心を平静に保つ心理である。最近は社会心理学などで正常性バイアスという表現がなされるが、以前から患者を鍼灸治療に向かわせるモチベーションの一部になっていると考える。

 忌避すべき要因を除外し、いくつかのポイントに注意しながら治療を進める。整形外科で診断を受けているか、画像診断を受けているかの確認が必要である。最近はレントゲン画像を持参する方、スマートフォンで写真を見せてくださる方など参考になるが、鍼灸院に来院される方は明確な要因があることの方が少ないように思う。頚部の画像診断を受けた方で多いのは、椎間が狭い頚椎症性の変化など問題となりそうな所見はあるものの、それが頚肩腕症状の原因とも言いにくい状態で、「年齢なりの変化」と言われた方である。この多くは保存療法として湿布や鎮痛薬などの処置となるが、患者心理としては積極的な治療であると捉えにくい向きも多い。このような問題を抱える方には、頚肩腕部に限らず、全身的な鍼灸治療である経絡治療を併用することが利益のあることと考える。

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