週刊あはきワールド 2021年8月11日号 No.725

治療家のためのセルフエクササイズ 第64回

全身運動連鎖のための部分エクササイズ(8)

~肩の外転動作①:胸郭の呼吸エクササイズ~

ATC&鍼灸師 山下貴士 


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 体の機能的な動作のための部分エクササイズをご紹介しています。この言い方は、矛盾していると感じられるかもしれません。なぜなら、機能的な動作とは全身を用いて行うので、部分エクササイズとは違う考え方と捉えることもできるからです。機能的エクササイズ(ファンクショナルトレーニング)を支持する人の中には、全身動作は全身動作の中で鍛えるべき、という人もいます。しかしながら、全身運動を構築する上で、運動連鎖の中で一つの鎖の部位に問題があれば、全身運動に支障が出てしまうことは否定できません。現に、ファンクショナルトレーニングの失敗の多くは、体の各部位の基礎的な機能不足です。そのため、全身運動の前に、問題を起こしそうな体の部位を適切に機能させておくことが大切なのです。本日は、全身運動を構築していくうえで、問題になりそうな重要な部位である肩の外転動作について考察していきます。

肩外転動作の歴史的意義

 肩の外転動作は、ヒトの進化の上でも特に重要であることは、何度かご紹介してきました。ヒトは二足歩行になり、両手で体重を支える必要がなくなった結果、上肢は大きな可動域を得ました。そして肩の可動域も大きくなり、物を投げる能力を獲得しました。物を投げる動作にとって、肩関節の外転動作は不可欠です。このことにより、大きな外敵に対し集団で石などを投げて対抗できるようになったと考えられています。

 文明が発達した後は、物を投げる必要は少なくなりましたが、それでも肉体労働の際には手を上にあげる肩の外転動作は、繰り返し行われてきたこと思います。しかし、産業革命以降腕を頭の上に上げる肩の外転動作を行う機会は徐々に減少し、パソコン一つで多くの仕事ができるようになった現代社会では、この傾向に拍車がかかっているのではないでしょうか。

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