週刊あはきワールド 2021年9月8日号 No.729

治療家のためのセルフエクササイズ 第65回

全身運動連鎖のための部分エクササイズ(9)

~肩の外転動作②:肩甲骨協調エクササイズ~

ATC&鍼灸師 山下貴士 


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 前回は、肩甲上腕リズムの観点から、胸郭を柔らかくすることで肩関節外転の機能を向上させるエクササイズを見てきました。これは、胸郭の上を動く肩甲骨の可動域を上げ、肩甲胸郭関節の機能を上げるためです。肩甲胸郭関節は、肩関節外転動作の土台といえる部位です。本日は、肩甲胸郭関節の協調性にアプローチするエクササイズをご紹介します。

 肩甲胸郭関節は硬くなることが多いので、ROM(可動域)改善のために肩甲骨の裏側に指を入れてほぐすことがあります。経穴でいうと膏肓付近の筋群にある菱形筋や僧帽筋中部です。ROM改善のためには、筋をほぐして柔らかくすることが大切ですが、ROMを上げるだけでは機能を向上することは望めません。肩甲骨が胸郭上を滑らかにスムーズに動くには、ROMを向上させた後に、前鋸筋を中心に肩甲骨周囲の筋の強化と協調性が必要なのです。

 前鋸筋は肩甲骨の外方回旋動作には欠かせない筋です。前鋸筋は肩甲骨を胸郭に張り付け、周囲の筋と連動して、肩甲骨を安定して動かす役割があります。例えば、プランクエクサイズを行っている時に、単に体を真っすぐに保つだけでなく、前鋸筋を収縮させ肩甲骨を胸郭に張り付け、肩甲間部を押し上げるようにすると、前鋸筋だけでなく腹筋群にも力が加わってくるのが分かります。つまり、前鋸筋が正しく働くと、肩甲骨を介して腕の筋と腹筋群など体幹の筋とのつながりが鮮明に分かります。これは、治療家が施術の時に体重をしっかりと乗せて押圧するときに必要な肩甲骨の使い方です。また、腕を使うスポーツで大きな力を発揮するときに非常に大切です。なぜなら、この働きは全身を使い体重の乗った重い球を投げたり、打ったりする時などに役立つからです。反対に前鋸筋の機能不全は翼状肩甲と呼ばれ、肩甲骨外方回旋時に、肩甲骨の内側が浮き上がったようになり、大きな力が出ないばかりではなく、関節に機能不全を起こし、痛みを発症することもあります。

 前鋸筋のエクササイズには、プッシュアッププラスなど、肩甲骨を前方方向に押し出すエクササイズが一般的ですが、本日はその応用エクササイズをご紹介します。

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